研究ブログ

2022年12月の記事一覧

『盗まれた一萬円』と「東京週報」

「新潮」2023年1月号に掲載された、坂口安吾の全集未収録小説『盗まれた一萬円』面白かった。
若き安吾の作品で、この時期にしては思いのほか達者な語りで進んでゆくな…と思ったら、終盤にいたって「らしさ」がスパークし、笑いの質が変わる。
大原祐治さんの「解説 笑劇としての探偵小説」も非常に興味深かった。
何より「東京週報」という新聞を掘り出してきたのが凄い。尊敬する。
正直、自分はまったく知らなかった新聞で、今後の調査の進展が待たれる。
昭和前期の週刊新聞については、「文藝時報」を後継した「藝術新聞」について少し調べたことがあるが、やはり所蔵している館は少なく、実態も十分にはわからなかった。
単行本や雑誌だけではなく新聞ももっと調査されてよい、とかねがね思っているけれど、週刊新聞というジャンルのことがもっとわかるとありがたい。
あわせて、このような資料紹介を「新潮」がやってくれるのも、とてもありがたい。ぜひ今後も続けて欲しい。

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