研究ブログ

2014年11月の記事一覧

安倍首相はなぜ党首討論を避けネット討論会に参加するのか

昨日、与野党8党の党首が動画中継サイト「ニコニコ動画」による討論会に参加し、12月2日(火)に公示され12月14日(日)に投開票される総選挙に向けて各党の政策の主張などを行いました1


各党の党首が一堂に会して議論を行ったのは11月21日(金)に衆議院が解散されてから初めてのことになります。


もとより、総選挙は党の浮沈を左右するだけに、各党の党首がより多くの有権者に向けて自党の主張を述べ、一つでも多い票を得ようとすることは当然であるとともに、各党の政策を比較するためにもこのような党首による討論が行われることは有権者にとって大きな利益となります。


しかし、安倍晋三首相は2014年6月11日(水)を最後に党首討論を開いていないだけでなく、9月に第二次安倍改造内閣が発足してからも一度も党首討論が開催されていないという点にわれわれは注意を払わなければなりません。


何故なら、国権の最高機関である国会には国家基本政策委員会両院合同審査会が設置され、各党の党首が討論を行う制度が整えられているにもかかわらず有効に機能しない一方で、民間の機関が主催する党首討論会には首相が参加するという事態は、一面において国会議員にとって選挙が政治上の死活を左右する大きな問題であることを示唆するものの、他面において安倍首相が自分が出たい催しには参加するものの、気が進まない場所には顔を出さないという態度を有していることを推察させるからであり、このような態度は、国会の権威をないがしろにする行動につながりかねないからです。


もちろん、党首討論であっても動画中継サイトの討論会であっても議論の真摯さに強弱や濃淡はないかもしれませんし、現象に注目すれば、討論会そのものが開かれていることに違いはありません。


それでも、11月26日(水)に行うことが決められていながらその直前に衆議院を解散して党首討論の開催を先延ばしにしたことを考え合わせるなら、安倍首相が国会における党首討論に対して消極的であることは容易に推測されます。


その意味で、今回の「ニコニコ動画」による討論会への参加は、安倍首相の国会に対する尊敬の念を疑わせる行動であったといえるでしょう。


1 ネット討論会. 日本経済新聞, 2014年11月30日朝刊2面.


<Executive Summary>
Why Did He Participate in a Dibate of Niko Niko Douga? (Yusuke Suzumura)


The dibate between 8 partieies was held by the Niko Niko Douga on 29th November 2014. It was first time after the dissolution of the lower house of parliament to hold such dibate. However Prime Minister Shinzo Abe's attitude to the debate was problematic, since he did not attend the Question Time in Japanese Diet in these past 5 months.

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故相良匡俊先生著『社会運動の人びと 転換期パリに生きる』出版記念会

昨日は、18時30分から20時45分まで法政大学市ヶ谷キャンパスボアソナードタワー25階のスタッフクラブにおいて、「故相良匡俊先生著『社会運動の人びと 転換期パリに生きる』出版記念会」が開かれました。


これは、2013年7月24日(水)午前6時23分に享年72歳で逝去された法政大学名誉教授の相良匡俊先生が社会運動史研究会の論文誌『社会運動史』などに発表された論考を集成した著書『社会運動の人びと 転換期パリに生きる』が今年9月に刊行されたことを祝う会で、ご令室やご令弟の相良憲昭先生などのご遺族のほか、新著の刊行に尽力された喜安朗先生、谷川稔先生、岡本充弘先生など社会運動史研究会の会員であった諸先生や、相良先生が1975年4月から2012年3月まで在職された法政大学の関係者、さらには相良先生の薫陶を受けたかつての学生など60名以上が集まりました。


小林ふみ子先生の司会により、田中優子法政大学総長の挨拶で始まった会は、第1部として学習院大学前学長の福井憲彦先生による講演「相良先生のおしごとと、このたびの出版の意味について」が行われ、新著を通して、相良先生の研究の特徴や魅力が紹介されました。


その後、相良先生と同じ時期にフランスに留学されて深い交流を結ばれた堀越孝一先生による乾杯の音頭により始まった第2部の懇親会では、相良先生が取り組んでいたシャンソンの研究にちなみ、高橋愛先生が執筆された小冊子「相良さんの最後のおしごと=シャンソンと社会運動」が配布されて場内にはシャンソンが流されるとともに、相良先生が法政大学の自校教育の一環として行われている「法政学への招待」で行った講義の映像が映写され、生前のお姿を偲びました。


最後に、相良先生と親交のあつかった北原敦先生による挨拶、指導学生を代表して平野奈津恵さんと金英美さんによる「学生の言葉」、さらに相良先生が晩年の10年間に力を入れて取り組まれた法政大学国際日本学研究所と法政大学大学院国際日本学インスティテュートでの業績を研究所長の小口雅史先生とインスティテュート運営委員長の小秋元段先生が紹介され、相良先生の遺徳を改めて讃えるとともに新著の刊行を祝して散会となりました。


<Executive Summary>
Commemoration Ceremony of Publishing of the Late Professor Masatoshi Sagara's "People of the Social Movement" (Yusuke Suzumura)


Commemoration Ceremony of Publishing of the Late Professor Masatoshi Sagara's People of the Social Movement was held at Hosei University on 28th November 2014. In this time over 60 attendees celebrated this publication and thoughtabout the goodness of Professor Sagara.
 

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「みんなの党の解党」が持つ意義は何か

本日、みんなの党が解党しました。


2009年8月に結党し、自民党と民主党が代表する既成政党への批判票の受け皿を目指した第三極の先駆であるみんなの党は、5年3か月で幕を下ろしました。


浅尾慶一郎代表は今回の解党の理由として「政策を実現するための手法の違い」を挙げ1、解党によって「理想の社会を熱く語り、それを実現するための政策を冷静に考える」というみんなの党の理念を否定するものではない2とするものの、実際には野党との共闘を重視すると与党との協調を志向する渡辺喜美前代表との運営方針の対立、さらには党を創設するとともに資金面でも大きな役割を果たした渡辺氏と他の議員の間に存した党の所有権の理解の相違を埋め合わせられなかったことが、解党の直接の原因であったといえるでしょう。


このように見るなら「公務員改革」を標榜して結党されたみんなの党は所期の目的を果たせぬまま終わったように思われます。


しかし、党の運営の改善を要求する江田憲司氏に党内の主導権を奪われかねないという危機感を強めた渡辺氏が、2013年7月の参議院議員選挙で渡辺氏を支えた浅尾氏を後任の幹事長に起用することで党運営の主導権を確保しようとするとともに、非主流派となった江田氏とその支持勢力が反主流派に転ずることを懸念して党内の「江田派」の分断と囲い込みを図ったこと3は、「憎い、許せない」という感情が、緊密に見える人々の間に深い溝をもたらすという日本の政界の特徴的なあり方をわれわれに教えるという点で、少なからぬ意義を有しています。


すなわち、渡辺氏と江田氏の党内の主導権争いに端を発した今回の解党は、日韓基本条約の締結を巡る池田勇人首相と大平正芳外相の間に生じた軋轢、あるいは首相退任後の鈴木善幸氏の、「暗愚の宰相の間違った政策を一新する」と評された中曽根康弘首相に対する憎悪の感情などの例に加えて、政治における感情の影響の大きさを伝える、新しい事例となったのです。


「名前に平仮名ないし片仮名が入っている政党は短命である」という経験則4を裏書したということも含め、みんなの党は、解党によって後世の教訓となったのです。


1 みんな28日解党. 日本経済新聞, 2014年11月20日朝刊1面.
2 みんなの党解党に際して. みんなの党, 2014年11月19日, https://www.your-party.jp/article/3144/ (2014年11月28日閲覧).
3 鈴村裕輔, 党は誰のものか?. 2013年8月8日, https://researchmap.jp/joxcssudf-18602/.
4 鈴村裕輔, 「次世代の党」という名称が示す「石原新党」の末路. 2014年6月24日, https://researchmap.jp/jofmz4kng-18602/.


<Executive Summary>
Dissolution of the Your Party, a Result of the Power Game (Yusuke Suzumura)


The Your Party, established August 2009, disbanded on 28th November 2014. It is the result of a power game between executives of the party.

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総選挙が告げる第三極の黄昏

12月2日(火)に公示され、12月14日(日)に投開票が行われる衆議院議員選挙では、連立与党である自民党と公明党、最大野党である民主党のいずれからも距離を置く、いわゆる第三極を標榜する政党の苦戦が予想されます。


すでに、第三極を標榜して2012年の総選挙において勢力を拡大したみんなの党は11月28日(金)に解党することが決まっており、同じく第三極の中核として野党第2党の位置を占める維新の党も擁立する候補者の数が当初予定していた100名に届かず、80名程度に留まる見込みです1
 

それでは、何故「第三極」の政党は今回の選挙で苦戦を強いられることになるのでしょうか。
 

理由は明確であり、たとえ1票差であっても比較1位の候補者のみが当選する小選挙区制にあっては、集票力を落とすような党の分裂とそれに伴う党の規模の縮小化は避けるべき行為だからです。


従って、解党するみんなの党はいうまでもなく、日本維新の会が維新の党とより保守的な次世代の党に分裂したことは、みんなの党から分裂した結いの党を吸収したという点を勘案しても、必ずしも党勢の拡張にはつながらず、今後の選挙戦で劣勢に立たされると考えられるのです。


その意味で、第三極の各党は下野の際も党内の結束を維持して脱落者を最小限にとどめた谷垣禎一前自民党総裁の手腕2を見習うべきであったのに消費税の増税や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入交渉の問題などによって党の分裂を招いた野田佳彦前首相の態度2を模倣したといえます。


民主党の海江田万里代表が2012年の第46回衆議院議員選挙以降、可能な限り脱党者を出さないように努めたことは、しばしば指導力の不足を指摘される中で、海江田氏の最大の功績であるといえるでしょう。


そして、もし今回の選挙で民主党が党勢を立て直し、他の諸党が勢力を弱めるとするなら、それは過去の事例について学んだか否かによる、当然の帰結となるのです。


1 維新、候補80人程度に. 日本経済新聞, 2014年11月27日朝刊4面.
2 鈴村裕輔, 総選挙における「自民党圧勝」の予測記事は何によって生まれたか. 2012年12月14日, http://researchmap.jp/jovhzasak-18602/?lang=japanese.


<Executive Summary>
The General Election of 2014 and the Twilight of the Third Force (Yusuke Suzumura)


The Thrid Force, ex the Japan Innovation Party, would cause a power to weaken in this General Election of 2014. The reason is very simpple: they could not keep the unity of the party.

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大東文化大学東洋研究所「茶の湯と座の文芸」研究班2014年度第24回研究会

昨日、18時20分から20時25分まで、大東文化大学において大東文化大学東洋研究所「茶の湯と座の文芸」研究班の2014年度第24回研究会が行われました。


今回は、『茶譜』巻七の第9部「貴人相伴之事」の第4回目で、国立国文学研究資料館の相田満先生の担当箇所を研究会の訓み下し、語釈と大意の確認を行いました。


この箇所では、茶の湯で出される膳の料理を取る際の鉢や重箱の扱いについて、先の人が取ったところを探し、その場所から続けて取るのがよく、前の人が重箱や鉢の中を取り散らかしているようなら、乱れた場所から料理を取り、中の様子を整えるのがよいのは、亭主が料理を念入りに鉢や重箱の中に入れた心遣いに注意を払うことなく取り散らかすことが無遠慮だから、という記述があり、料理を取る際にも細やかな配慮が求められている点は興味深く思われました。

<Executive Summary>
Report of the 24th Research Meeting of "Tea Ceremony and the Literary Arts of "The Seat"" Unit of Daito Bunka University Institute of Oriental Studies of 2014 (Yusuke Suzumura)


On 25th November 2014 I attended the 24th research meeting of "Tea ceremony and the literary arts of "the seat" (Chanoyu to Za no Bungei)" unit of Daito Bunka University Institute of Oriental Studies of 2014. All attendee examined the text of Chafu Vol. 7 Part 9.

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中教審は「英語教育の早期化」という諮問を慎重に検討せよ

11月20日(木)、下村博文文部科学大臣は中央教育審議会(中教審)に対して、小中高校の学習内容を定めている学習指導要領の全面改訂を諮問しました1


下村文科相の諮問では、現在は教科外の活動として小学5年から導入されている「外国語活動」を小学3年から実施し、小学校5、6年制については正式教科に英語を加えることについて検討を求めるとともに、中学校では英語の授業は基本的に英語で実施し、高等学校では英語で「発表、討論、交渉などを行う能力を高めること」を目標とする考えを示しています。


英語の教育をいつ頃から始めるか、あるいはいかなる内容を教えるか、という問題は長年にわたって日本の教育界の大きな課題でしたし、これまでにも様々な議論がなされてきました。そして、実際に英語の教育に携わる中学校や高等学校の教員は、日々多様な努力により、生徒の興味や関心を引き出し、英語の運用能力を定着、向上させようとしています。


それにもかかわらず今回の下村文科相の中教審への諮問の類がなされるということは、一面において現在の学校教育における英語の教授法が必ずしも奏功していないことを推察させるものです。


その意味で、今回の諮問が示す、早期の英語教育の実施や討論の能力の養成は、現在の英語教育の足らざる部分を補うという点で、一定の意義を有するように思われます。


一方で、下村文科相を筆頭とする早期の英語教育を推進する人々は、討議をするためには英語の教育を早くから行うことよりも、討議を行えるだけの知識や教養を十分に身に付けることが必要であること、さらに、自国語で教育を受けられるという日本人がごく当然のように享受している現実の「有り難さ」を必ずしも十分に自覚していないようであることも、疑いえないところです。


確かに、現在の20歳代後半以降の方は会話や聞き取りを中学校、高等学校での英語の授業の中で入念に行われてきたためか、発音は大変流暢で会話もよどみなく、外国人との意思の疎通を行う上で何らの支障もないようにみえます。


しかし、こうした人たちであっても議論や討論になるととたんに沈黙する場面が増えるという現実を、われわれはどのように考えればよいのでしょうか。


会話の流暢さと討論での沈黙とを対比させるとき、われわれは、決して言葉の運用の能力が低いためではなく、話すべき内容を自分たちが持ち合わせていないためであることを知るのです。


これは、日常会話には問題のない小学生が、政治や経済、あるいは社会の問題を討論する際には少しも発話できずにうつむいたまま時間を過ごすのと同じ現象といえるでしょう。あるいは、どれほど速く走れる自動車があるとしても燃料が入っていなければ自宅の車庫から出ることすらままならないのと同じなのです。


このように考えれば、どれほど早い段階から英語の授業を開始したとしても、児童や生徒に議論を行うために必要な知識や教養がなければ、結局は日常的な会話には事欠かないものの充実した討論を行うことができな人材を生み出すことになるだけでしょう。


政策の決定に携わる者の狭隘な視野が前途有為な児童や生徒の将来に悪影響を及ぼすことは避けられなければなりませんし、英語の教育を早期から行うという計画が新たな利権を生み出すための措置となることも、断固として排除されなければなりません。


その意味でも、下村文科相による中教審への諮問は実態を伴わないものであるばかりでなく、英語を含む今後の日本の教育界に禍根を残すことになりかねないといえます。


中教審の関係者が良識と幅広い知見に基づき、拙速主義的な諮問に対する適正な答申を行うことが期待されます。


1 小3から英語の授業、指導要領改訂を諮問、中教審に. 日本経済新聞, 2014年11月20日夕刊14面.


<Executive Summary>
Early English Education, a Rough-and-ready Idea (Yusuke Suzumura)


Mr. Hakubun Shimomura, a Minister of Education, Culture, Sports, Science and Technology, consulted the Central Education Council about a possibility of conducting early English education in the elementary school. However such an inquiry is meaningless, since no one could not discuss anything without exact idea, knowledge or information.

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平成26年度東京都高等学校文化祭音楽部門第2地区大会

昨日は、15時10分から16時45分まで昭和音楽大学のテアトロ・ジーリオ・ショウワ(神奈川県川崎市)において、平成26年度東京都高等学校文化祭音楽部門第2地区大会を聞きました。


今回は、出場した21団体のうち、17番目の東京学芸大学附属高等学校(管弦楽)、東京都立松原高等学校(吹奏楽)、海城中学校・高等学校(吹奏楽)、東京都立桜修館中等教育学校(吹奏楽)、そして青フィルの演奏を聞きました。


演奏曲は、学芸大学附属高校がニコライの歌劇『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲(指揮:浜平有理英)、松原高校がミッチェルの『大草原の歌』(指揮:光藤稔莉)、海城高校がスパークの『イギリスの海の歌による組曲』(指揮:佐藤靖久)、桜修館中等教育学校がメリロの『プラトンの洞窟からの脱出』(指揮:戸田星良)、青フィルがブラームスの大学祝典序曲(指揮:盛藤舞)でした。


青フィルの大学祝典序曲は、10分以内という演奏時間の制約もあり、本来よりも速めに演奏したために全体的に踏み込みが浅くなるとともに立体感にやや欠ける演奏となりました。ただし、大学祝典序曲は青フィルが1年間を通じて演奏する年間曲であるとともに、12月の全国高等学校選抜オーケストラフェスタと2015年4月29日(水、祝)の第30回定期演奏会では時間の制限がないため、よりよい演奏を実現することが期待されるところです。


他の4団体については、学芸大学附属高校が指揮者の浜平有理英さんを含めても35人という編成ながら、各楽器が互いに他の楽器を侵食せず調和されていたことと、弦楽器、とりわけヴァイオリンパートの各奏者が持てる力を十分に発揮していたことで、人数面での制約にとらわれない充実した演奏を披露したことが最も印象深く思われました。


また、吹奏楽の3団体については、演奏は充実していたものの作品の貧弱さはいかんともしがたいものでした。特にスパークの『イギリスの海の歌による組曲』はヘンリー・ウッドの『イギリスの海の歌による幻想曲』には遠く及ばない平板な作品であり、メリロの『プラトンの洞窟からの脱出』も果たしてメリロがプラトンが『国家』において描いた洞窟の比喩を適切に理解しているかを疑わせる内容で、吹奏楽の分野における良質の作品の少なさが示唆されるところでした。


一方、これとは別に懸念されるのが、新宿高校とともに学芸大学附属高校の管弦楽部も部員数が減少している点で、長らく東京都の高等学校における交響管弦楽の文化の発展を支えてきた第2地区における構造的な変化が確実に生じていることが推察されました。


なお、今回、地区委員長の小熊陽さん(海城中学校・高等学校)が閉会の挨拶を行った際、会場で一本締めを行いました。これは2地区の地区音で初めての試みであり、今後は他の地区にも普及する可能性があろうかと思われるところでした。

 

<Executive Summary>
The Second Area Convention of Tokyo Metropolitan High School Culture Association, Division of Musical Arts of 2014 (Yusuke Suzumura)

The Second Area Convention of Tokyo Metropolitan High School Culture Association, Division of Musical Arts of 2014 was held at Teatoro Gario Showa on 23rd November 2014. The Aoyama Philharmonic Orchestra performed Brahms' Academic Festival Overture. Conductor was Mai Morito.

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総選挙に際し各党は個利個略ではなく国民の利益を優先せよ

11月21日(金)、衆議院が開催され、12月2日(火)に公示され、12月14日(日)に投票されることが決まりました。

もとより、内閣総理大臣であるとともに自由民主党の総裁でもある安倍晋三氏が、支持率が比較的高い段階で総選挙を行うことで可能な限り落伍者を出さないように務めることは一定の合理性を持つといえ、解散を判断したことが必ずしも批判されるべきものではないことは、すでに本欄の指摘するところです1。

一方、安倍首相が2015年10月に予定されていた消費税の10%への増税の実施を2017年4月に延期するとしたことは、一面において「財政を再建するためには経済の活性化がまずなされなければならない」と事柄の優先順位を明らかにしたものの、他面において2012年に民主、自民、公明の主要3党が行った社会保障と税の一体改革の3党合意に反するだけでなく、有権者に「増税先延ばし」という果実を示して得票数の上積みに繋げようとする行為に繋がりかねません。

しかも、安倍首相の「増税先延ばし」の判断により、自民党と連立を組む公明党だけでなく、3党合意を行った民主党、さらには他の野党も消費税の増税の実施の延期を唱えることは、有権者に対して「3党合意だ何だと言っても、すぐに反故にされちまう。手前勝手なものだな」という印象を与えるとともに、消費税の才蔵税に備えて各種の準備を進めている国民の努力を裏切ることになります。

代議士も職業であり、落選すれば失職するという現実に鑑みれば党利党略、個利個略を優先させることは当然ながらも、その結果が政党政治への信頼を損なうなら、そのような行為は妥当ではありません。

日本の国政を担う各党には、何が日本の将来のために優先されるべきかを第一に考え、自らの利益よりも国民と国家の利益を重んじる態度をもって今般の総選挙に臨むことが期待されるのです。

1 鈴村裕輔, 安倍首相は愛国心を発揮して消費増税の断行を公約できるか. 2014年11月13日, https://researchmap.jp/joepaqf3v-18602/#_18602.

<Executive Summary>
Political Partices Shall Attach a High Value to People's Benefits and National Interests (Yusuke Suzumura)

The Lower House was dissolved on 21st November and the General Election will be conducted on 14th December 2014. In this occasion all political parties shall attach a high value to people's benefits and national interests not to their own agenda.
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NHK交響楽団第1794回定期公演

昨日は、19時から20時29分まで、NHKホールにおいてNHK交響楽団の第1794回定期公演を聞きました。


今回は、ネルロ・サンティの指揮により、前半にロッシーニの歌劇『どろぼうかささぎ』序曲とベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」が、後半にチャイコフスキーのイタリア奇想曲とレスピーギの交響詩「ローマの松」が演奏されました。


寸評は以下の通りです。


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NHK交響楽団の第1794回定期公演は、前半がロッシーニの歌劇『どろぼうかささぎ』序曲とベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」であり、後半がチャイコフスキーのイタリア奇想曲とレスピーギの交響詩「ローマの松」と、芸術的な側面よりも技術的な要素が優先され、精神性よりも通俗性が強調される作品が並んだ。


これ自体には何らの問題もないものの、演奏会の中心を担うはずの指揮者であるネルロ・サンティが、体調の不良かあるいは事前の準備の不足か、もしくは意欲の喪失によるものか、精彩を欠く指揮により、ときに曲の進行を停滞させ、ときに過剰な装飾を施し、いずれも平板で抑揚に欠け、底の浅い演奏に仕上げた。


サンティと楽団の相性の悪さは管楽器、とりわけ木管楽器がしばしば目の粗い演奏を行い、演奏者相互の意思の疎通も円滑でなかったことからも推察されるところであった。


また、ゲストコンサートマスターとして招かれたチューリッヒ歌劇場の岡崎慶輔が頻繁に左足で拍子をとっていたことは本人の習癖かもしれないものの、すでにサンティにとって速度を正確に維持することが難しくなっている可能性が示唆された。


いずれにせよ、出来てから時間が経ち、冷めて食べごろを過ぎたピザを口にした際の後味の悪さと同じく、「古き良き時代、イタリアの伝統を継ぐ最後のマエストロ」といった空疎な文言とともに紹介されるサンティの指揮によるNHK響の演奏は聴衆の繊細な美的感覚にはそぐわないものであった。


その意味で、今回の演奏会は、経歴は過去を証明するものであっても未来の成果を保証するものではないという、ごく当然ながらしばしば忘れられる側面をわれわれに改めて思い起こさせる、教育的な意義を有するものであったといえるだろう。


*NHK交響楽団第1794回定期演奏会, 2014年11月21日(土), 19時から20時29分, NHKホール.
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<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1794th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)


The NHK Symphony Orchestra held the 1794th Subscription Concert at the NHK Hall on 21st November 2014. In this time, Rossini's overture of The Thieving Magpie, Berlioz's Roman Carnival Overture, Tchaikovsky's Capriccio Italien, and Respighi's Pines of Rome were performed. Conductor was Nello Santi.


 

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ELLTA2014の雑感

現地時間の11月19日(水)の9時から15時分まで、マレーシアのペナン島に所在するマレーシア科学大学(USM)において開催された Exploring Leadership & Learning Theories in Asiaの第3回国際大会は、無事に3日の会期が終了しました。


研究協力に向けた共同討議が当初予定されていた5件から2件に縮小されたり、個別発表を行う予定であった参加者の一部が欠席したりと、大会の全てが計画の通りに進まなかったのは、マレーシアだけでなく世界60か国以上から参加者が集まった国際会議を行う際に生じる、不可避的な現象であるといえるでしょう。


一方、大会期間中、開催校であるUSMは、副総長のオマール・オスマン教授が連日会場に姿を見せたほか、学生や教職員の有志が運営に携わりました。


特に、オレンジ色の名札を下げた学生と教職員の有志は"Team of Angels"として各会場への道案内や資料の手配、あるいは会場の管理などに献身的な努力を示していました。


敷地が広く、会場が分散している上に建物の構造がやや複雑なUSMだけに、係員を務めた皆さんが的確な道案内を行わなければ少なからぬ参加者が戸惑いを覚えたことは間違いないところです。


その意味で、3年前にも多大な努力によって第1回大会の成功に貢献したUSMの皆さんが今回“Team of Angels”を編成して大会に臨んだことは、それだけUSM側も主体的にELLTAの国際大会に関わろうとしていることを示しています。


笑顔を絶やさず、常に気配り、目配り、心配りを行ったUSMの皆さんに改めてお礼を申し上げるとともに、皆さんが第3回大会が盛況のうちに幕を閉じられた最大の貢献者であることをここに銘記するところであります。


<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of the ELLTA 2014 (Yusuke Suzumura)


The 3rd International Conference of the Exploring Leadership & Learning Theories in Asia was held on 17-19th November 2014 at the  University of Science-Malaysia. In this time I note my miscellaneous impressions of the ELLTA 2014.

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