研究ブログ

2016年11月の記事一覧

IOCは「東京五輪問題4者協議」で圧勝した

昨日、2020年に開催される予定の東京オリンピック及びパラリンピックの競技会場の見直しを議論するため、国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、日本政府の4者協議が行われました。協議に出席したのは、IOCのジョン・ダウリング・コーツ副会長、東京都の小池百合子知事、大会組織委員会の森喜朗会長、日本政府の丸川珠代五輪相などでした。


協議の結果、ボート及びカヌーのスプリントの会場となる海の森水上競技場と水泳の五輪水泳センターは原案通り新設し、バレーボール会場については、小池都知事が結論の先送りを提案し、了承されました1


席上、組織委員会側が大会の開催経費について2兆円の見込みであり、今後も経費の削減に努めることを報告すると、コーツ副会長が「上限が2兆円では高すぎる。まだ節約できる余地が残っているはずだ」と述べ、さらなる削減と経費の早急な提出を求めたものの1、3つの競技会場のうち2施設が原案通り新設されることになったのは、本欄が指摘するとおり可能な限り現在の会場計画を維持しようというIOCの思惑2が実現したといえるでしょう。


すなわち、しIOCはいわゆる「国立競技場問題」においても、「新しい国立競技場を作るという前提でオリンピックの招致に立候補したのだから、IOCは一切関知しない、維持管理が問題となるのなら、自助努力で解決せよ」という態度を示しており3、今回の会場の見直しの問題についても、トーマス・バッハ会長が当初の計画の維持を要求したことが示すように、IOCの基本的な態度は「設備の維持管理が問題となるのなら、自助努力で解決せよ」というものです。


そして、今回、東京都による会場見直しの動きに批判的な大会組織委員会と日本政府とを交えて4者協議を行うこで、IOCは「東京都対IOC・組織委・日本政府連合」という図式を作り、協議の結果という体裁を取りつつ可能な限り現在の会場計画を維持しようと目論んだのでした2


実際、IOCは新設される施設の客席を当所の案よりも削減することに同意を示すことで部分的に東京都の意向を汲み入れたものの、協議によって大筋では招致案を踏襲することが決まりましたから、IOC側はわずかな譲歩によって現行案の維持という大きな成果を手にしたことになります。


さらに、バレーボール会場について「クリスマスまでに最終結論を出したい」と主張する小池都知事と「それまで何をやるのか」と不快感を示す森会長に対してコーツ副会長は「有明と横浜を比較する必要がある」と仲裁者の役目を果たすなど4、実質的にIOC側が議論を取り仕切ったといえるでしょう。


このように見れば、今回の4者協議で最大の成果を得たのはIOCであり、組織委員会は開催費の削減、東京都は3施設中2施設の新設という譲歩を余儀なくされ、日本政府は存在感を発揮することが出来ませんでした。とりわけ、東京都側は会場の見直しを唱えながら所説を貫けなかったという意味でIOCに敗れたのであり、政治家としては一定の経験を積んだ小池都知事もIOCの狡猾さに翻弄されたといえます。


それだけに、今後は東京都側がバレーボール会場の問題に対してどこまで3者に譲歩するのか、それとも最後はIOC側が小池都知事の面目を保つために東京都側の主張に配慮するのかが大きな焦点となるのです。


1 五輪、ボート・水泳は当初予定地に新設. 日本経済新聞, 2016年11月30日朝刊1面.
2 鈴村裕輔, 4者協議は「東京五輪問題」を解決しない. 2016年10月19日, http://researchmap.jp/jo4iiwhc0-18602/.
3 鈴村裕輔, 見直されるべき「新国立競技場」の建築計画. 2013年10月14日, https://researchmap.jp/johtotss6-18602/.
4 五輪2会場、ほぼ当初案. 日本経済新聞, 2016年11月30日朝刊3面.


<Executive Summary>
The IOC Is a Winner of the Four-Party Talks (Yusuke Suzumura)


The four-party talks by the , the Tokyo Metropoliatn Government, the International Olympic Committee, the Tokyo Olympic Games Organizing Committee and the Japanese Government was held on 29th November 2016. In this talks the IOC won the game, since they could keep most of the original plan for sports facilities.

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【開催3週間前】青フィル・西オーストラリア青少年管合同演奏会

11月22日(火)の本欄でお伝えした通り、12月20日(火)の19時より新宿文化センター大ホールにおいて、青フィルと西オーストラリア青少年管弦楽団の合同演奏会「青山フィルハーモニー管弦楽団 Western Australian Youth Orchestra 親善ジョイントコンサート」が開催されます。


これまで、青フィルは他の団体の演奏会への客演や式典での演奏の機会はあったものの、合同演奏会を開催した経験がなかったことは、本欄でご紹介した通りです1


そこで、今回は青フィルが全国高等学校総合文化祭、全国高等学校選抜オーケストラフェスタ、東京都高等学校文化祭音楽部門中央大会、東京都高等学校文化祭音楽部門第2地区大会及び青山高校が主催する行事以外で演奏を行った事例をご紹介します(表1)。



表1 青山フィルハーモニー管弦楽団の外部演奏会への出演状況

開催日
事項
会場
備考
2011年11月11日(木)
日本青年団協議会結成60周年・財団法人日本青年館設立90周年・第60回記念全国青年大会合同周年記念行事
日本青年館中ホール開会時の演奏を担当
2014年8月1日(金)
平成26年度全国高等学校総合体育大会総合開会式味の素スタジアム宮川彬「その夢が叶うなら」などを演奏
2015年7月22日(水)
第1回伊藤忠サマーコンサートサントリーホール大ホールニューヨーク・シンフォニック・アンサンブルとヴェルディの歌劇『アイーダ』より凱旋行進曲を演奏
2015年12月17日(水)
ORANGE RANGEコンサートツアー東京公演
渋谷公会堂金管パートが客演


まず、2011年11月11日(木)には日本青年館中ホールにおいて、日本青年団協議会結成60周年・財団法人日本青年館設立90周年・第60回記念全国青年大会合同周年記念行事の開会式で記念演奏を担当しました。


これは、青フィルが会場である日本青年館に最も近い管弦楽団であるとともに、当時日本青年館を会場とする全国高等学校選抜オーケストラフェスタに


また、2014年8月1日(金)には、味の素スタジアムで行われた平成26年度全国高等学校総合体育大会総合開会式で、江戸川女子中学校・高等学校、玉川学園、東京都立武蔵野北高等学校とともに宮川彬の「その夢が叶うなら」などを演奏しました。


さらに、2015年には7月22日(水)にサントリーホール大ホールで行われた第1回伊藤忠サマーコンサートでニューヨーク・シンフォニック・アンサンブルとヴェルディの歌劇『アイーダ』より凱旋行進曲を演奏し、12月17日(水)には渋谷公会堂でのORANGE RANGEコンサートツアー東京公演で金管パートが客演しました。


このように、青フィルは他の団体との共演を重ね、今回の西オーストラリア青少年管弦楽団との合同演奏会を迎えることになります。


1 鈴村裕輔, 【開催4週間前】青フィル・西オーストラリア青少年管合同演奏会. 2016年11月22日, https://researchmap.jp/joydf7hfl-18602/#_18602.


<Executive Summary>
Second Announcement: A Joint Concert of the Aoyama Philharmonic Orchestra and the West Australian Youth Orchestra (Yusuke Suzumura)


The Aoyama Philharmonic Orchestra (APO) and the West Australian Youth Orchestra (WAYO) will hold a concert jointly at the Shinjuku Bunka Center on 20th December 2016. This concert is the first opportunity for the APO to hold a joint concert with a overseas orchestra like the WAYO.

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【評伝】フィデル・カストロ氏――一代の英傑の長逝

去る11月25日(金)、キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長が死去しました。享年90歳でした。


カストロ氏は、1959年1月1日に盟友であるアルゼンチン人の医師エルネスト・ゲバラとともにキューバのフルヘンシオ・バティスタ大統領を追放して政権を獲得したこと、1961年10月16日から10月28日まで続いたいわゆるキューバ危機の主役の一人であったこと、あるいは東西冷戦下で中南米を中心とする反米諸国の指導的立場にあったことなど、20世紀の世界の歴史を物語る上で必要不可欠な人物であることは周知の通りです。


また、1960年9月26日の国連総会で4時間29分にわたってキューバ革命の意義を誇り、米国を非難する演説を行ったことを初めとして、しばしば一杯の水も飲まず、原稿も見ることなく6時間から8時間にわたって演説を行うなど、存在感の高さは仇敵であった米国の大統領たちに伍して劣りませんでした。


一方、政治家としてのカストロ氏の手腕については、教育や医療の無償化、治安の向上を実現し、中南米の多くの国々では極端な富の偏在と絶対的貧困状態が共存しているのに対し、キューバではある程度の政治的不自由と引き換えに、貧しいながらも「公平な社会」が生まれたことを評価することが出来るでしょう。


それとともに、特に冷戦終結後は最大の支援国であったソ連の崩壊もあり、経済活動の停滞を招くなど、政治家としての実務的な評価は必ずしも高くありませんでした。


それでも、ユナイテッド・フルーツなどの米国企業と結び付くことで蓄財したバティスタ政権を打倒し、「キューバ人のためのキューバ」の実現を目指したカストロ氏は、社会主義国で通例であった指導者の像の建立を行わず、息子であっても能力が足りないことが明らかになれば職を解くことで、無私の革命家像を作り上げることに成功しました1


さらに、キューバ危機の当事者であったソ連のフルシチョフ第一書記がキューバ危機への対応が弱腰と見られて失脚し、米国のケネディ大統領も暗殺されるなど、自らの務めを全うできなかったのに比べ、カストロ氏が2008年2月に公職を引退してからも国内外で影響力を維持し続けたこととは、カストロ氏のしたたかさと忍耐強さ、そして政敵からの挑戦を退ける運の強さを示すといえるでしょう。


例えば、1996年にヴァチカン市国を訪問してローマ法王ヨハネ・パウロ2世と面会し、キューバ革命以来断絶していたカトリック教会との関係を修復したことは、カストロ氏の戦略性の高さを象徴する出来事の一つです。


あるいは、「もし、大リーグ選手になっていればキューバ革命は起きなかった」というまことしやかな冗談がささやかれるほどに野球に通じ2、1987年に発売されたファミリーコンピューター用ソフト『ゲバラ』ではチェ・ゲバラとともに主人公となるなど、日本の人々にも親しまれたのがカストロ氏でした。


このように50年以上にわたって国際政治の第一線で大きな存在感を発揮してきたカストロ氏がいたからこそキューバの人々は現状に耐えてきたのであり、これからのキューバは「フィデルは好きだ、だけど社会主義は嫌いだ」という時代を迎えることになります3


いわば一身で世界を相手にした一代の英傑がカストロ氏の長逝は、カストロ氏への評価がどのようであれ、キューバにとってだけではなく、世界史にとっても一つの節目として長く人々に記憶されることでしょう。


1 冷戦時代の象徴、去る. 日本経済新聞, 2016年11月27日朝刊3面.
2 カストロ氏の野球との関わりについては次の文献を参照せよ。Bjarkman, PC.: Fidel Castro and Baseball. 25th March 2016, http://sabr.org/bioproj/topic/fidel-castro-and-baseball (accessed on 28th November 2016).
3 このようなキューバ人の心理的な機微については、次の文献を参照せよ。戸部良也『強くて楽しいキューバカストロの国の体験記』風人社、2005年。


<Executive Summary>
Critical Biography: Former President Fidel Castro-- The Exit of a Prominent Leader of the World (Yusuke Suzumura)


Former President Fidel Castro had passed away at the age of 90 on 25th November 2016. Mr. Castro is a prominent leader of the world and might be recodnised as a key person of the world history during the cold war period.

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NHK交響楽団第1849回定期公演

昨日は、15時5分から16時50分まで、NHKホールにおいてNHK交響楽団の第1849回定期公演を鑑賞しました。


今回は、前半にショスタコーヴィチのロシアとキルギスの民謡による序曲とピアノ協奏曲第1番、後半に交響曲第12番「1917年」が演奏されました。指揮は井上道義、ピアノ協奏曲でのピアノ独奏はレクセイ・ヴォロディン、トランペット独奏は菊本和昭でした。


寸評は以下の通りです。


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NHK交響楽団の第1849回定期公演では、前半にショスタコーヴィチの「ロシアとキルギスの民謡による序曲」とピアノ協奏曲第1番、後半に交響曲第12番「1917年」が演奏された。指揮は井上道義、ピアノ協奏曲でのピアノ独奏はレクセイ・ヴォロディン、トランペット独奏は菊本和昭であった。


独奏者であれオーケストラであれ、時に相手を挑発し、時に相手をはぐらかし、あるいは相手の傍らに寄り添うように指揮をするのが井上の持ち味であるのは周知のとおりである。


今回の公演でも井上は顔の表情から靴の先までを用いて音楽を表現したものの、奥ゆかしさでは日本国内に類例を見ないNHK響は井上の誘いを恥ずかしげに眺めるのみで、ゲスト・コンサートマスターのダンカン・リデルが愉快に体を左右にゆすりながら演奏するだけであった。


しかし、元来音量の大きさには定評のあるNHK響から特に重厚な低音を引き出すことが出来たのは井上の牽引力の確かさの結果であり、とりわけ交響曲第12番でのトロンボーンとコントラファゴットの濃厚な存在感は力押しになりがちなこの曲の容姿を引き締めることに貢献していた。


一方、ショスタコーヴィチと井上に共通する持ち味である滑稽さと諧謔さは、この日の演奏では必ずしも十分に発揮されなかった。


理由は明快で、「ロシアとキルギスの民謡による序曲」はオーケストラに硬さが残り、ピアノ協奏曲では独奏のヴォロディンが曲の持つ面白みを表現するには真面目に過ぎたためである。


このように考えれば、この日の公演は井上が得意とするショスタコーヴィチを揃えたものの、井上が意図したであろう成果を十分に挙げることはできなかったかもしれない。


それでも、演奏が終了した後に楽員から花束が贈られたのだから、たとえ儀礼的であるとしても楽団の井上に対する尊重の念は小さからぬものであり、もし井上が差し出した右手に花束を渡した団員が気付いていれば、後味の爽やかな演奏会となっていたことだろう。


*NHK交響楽団第1849回定期公演. NHKホール, 2016年11月26日(土), 15時5分から16時50分.
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<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1849th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)


The NHK Symphony Orchestra held the 1849th Subscription Concert at the NHK Hall on 26th November 2016. In this time, Shostakovich's Overture on Russian and Kyrgyz Folk Themes, the 1st Piano Concerto, and the 12th Symphony were performed. Conductor was Michiyoshi Inoue, solo piano was Alexei Volodin and solo trumpet was Kazuaki Kikumoto.

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モーツァルト生誕260年&日伊国交樹立150年記念コンサート

昨日は、20時から20時40分まで、豊洲シビックセンターホールにおいてモーツァルト生誕260年&日伊国交樹立150年記念コンサートを鑑賞しました。


今回は、前半にモーツァルトの歌劇『フィガロの結婚』から序曲と伯爵夫人のアリア「愛の神よ、安らぎを与えたまえ」、ケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」、伯爵のアリア「訴訟に勝っただと!」、スザンナのアリア「とうとう嬉しい時がきた」、歌劇『クレータの王イドメネオ』からエレットラのアリア「オレステスとアイアスの苦悩を」、歌劇『ドン・ジョヴァンニ』よりドンナ・エルヴィラのアリア「あの恩知らずは私を裏切って」が、そしてロッシーニの歌劇『セヴィリアの理髪師』よりロジーナのアリア「今の歌声は」、フィガロのアリア「私は町の何でも屋」が演奏され、後半にはモーツァルトのフロートと管弦楽のためのアンダンテ、パガニーニの「24の奇想曲」より第24曲、モーツァルトのヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョ、ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド、ミサ曲ハ長調「戴冠式ミサ」が取り上げられました。


指揮は吉田拓人、独唱はソプラノが岡﨑麻奈未、設楽芽佑、中森美紀、メゾソプラノが高橋未来子、但馬由香、テノールが三浦幸未知、バリトンが上田誠司、バスが河野鉄平、独奏はフルートが伊丹唯、ヴァイオリンが寺島貴恵であり、管弦楽はモーツァルト生誕260年&日伊国交樹立150年記念コンサートオーケストラ、合唱はモーツァルト生誕260年&日伊国交樹立150年記念コンサート合唱団でした。


演奏会は18時30分の開始であったものの、仕事の都合でモーツァルトのヴァイオリンと管弦楽のためのロンドと「戴冠式ミサ」しか聞くことが出来なかったため、寸評は差し控え、所感の紹介とさせていただきます。


今回の演奏会は、徳川幕府が1866年にイタリアとの間に日伊修好条約を締結したことで日伊両国の国交が樹立されてから今年で150年目に当たるとともに、モーツァルトの生誕260年、さらにロッシーニの歌劇『セヴィリアの理髪師』の初演から200年を記念して行われており、選曲もモーツァルトとロッシーニが中心となっています。


モーツァルトの2曲を聞いた限りにおいて、新進の指揮者と演奏者によるためか、旋律を追うだけなら違和感はないものの、簡潔な譜面の中に多くの情報が埋め込まれているモーツァルトの譜面を生きいきと蘇らせるまでには至っていませんでした。


また、30人という小ぶりな編成であることを考えると、吉田は90人の楽団に対する振り方をしていたため、特にヴァイオリンと管弦楽のためのロンドが緻密さを欠きがちな演奏になっていました。


一方、「戴冠式ミサ」では上半身と下半身の動きが一致せず、不安定さの残る振り方ではあったものの、声楽を修めていた経験を活かした指揮によって独唱者だけでなく合唱にも適切な指示を出していました。特に吉田の合唱の扱いは巧みで、独唱者が合唱に埋没することなく、しかも合唱が独唱者に取り残されないよう双方の距離感を一定に保ちつつ音楽を進める手腕には見るべきものがありました。


岡﨑、但馬、三浦、河野の4人の独唱者もそれぞれの持ち味を比較的明瞭に発揮しており、収容人員300人の会場にふさわしい、舞台と客席の親密度の高い「戴冠式ミサ」の実現に大きく貢献していました。


このように、今回のモーツァルト生誕260年&日伊国交樹立150年記念コンサートは小ぶりながらも充実した演奏会でした。ただし、演奏会パンフレットの構成や校正には改善の余地があり、今後、演奏そのものにふさわしい洗練されたパンフレットの配布されることが期待されました。


<Executive Summary>
The Memorial Concert for the 260th Anniversary of Mozart's Birth and the 150th Anniversary of Japan's Establishing Diplomatic Relations with Italy (Yusuke Suzumura)


The Memorial Concert for the 260th Anniversary of Mozart's Birth and the 150th Anniversary of Japan's Establishing Diplomatic Relations with Italy was held at Toyosu Civic Hall on 25th November 2016. In this concert, 14 pieces including Mozart's Coronation Mass were performed and conductor was Takuto Yoshida.

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東京都立青山高等学校平成28年度第2回学校運営連絡協議会

去る11月19日(土)、14時から15時20分まで東京都立青山高等学校校長室において平成28年度第2回学校運営連絡協議会が行われました。


今回は、各学年による現況の報告と学校評価アンケートの案の検討並びに出席者による協議意見の交換が行われました。また、席上、外部委員には平成28年度学校要覧が配布されました。


学校評価アンケートは例年通り在校生、保護者、教職員を対象として行われ、配布日は11月30日(水)、回収日は12月22日(木)の予定となっています。


なお、次回の平成28年度第3回学校運営連絡協議会は2017年2月4日(土)に実施される予定です。


<Executive Summary>
The 2nd Meeting of Tokyo Metropolitan Aoyama High School Commission of Management Association of 2016 (Yusuke Suzumura)


The 2nd Meeting of Tokyo Metropolitan Aoyama High School Commission of Management Association of 2016 was held on 19th November 2016. On this occasion the brochure of 2016 was released and a slogan of the school was described as "Don't be afraid to set high goals for yourselves."

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鉄道会社は降雪下の運行に最善を尽くせ

今朝、東京都心部で初雪が降り、東京都としては1962年以来54年ぶりに11月の降雪と、1875年の観測開始以来初めてとなる11月の積雪を記録しました1


ようやく紅葉も見ごろになりつつある中での降雪は東京の季節感としては奇異なものであり、まさに「50年に一度の異常現象」が起きたというべきでしょう。


ところで、東京都心部では7時頃から雪が降り始め、その後、時間が経つにつれて降雪量が増しました。


この間、鉄道各線は降雪を理由として電車の遅延や運休、あるいは行き先の変更などを行うとともに、各社とも振替乗車を実施しました。


しかし、例えば京王線めじろ台駅に行く途中、調布駅で振替乗車の実施を案内されても相互に乗り入れている路線がなく、バスを利用すると所要時間が多くかかるため、振替するのは現実的ではありません。


また、もし他の路線を利用できたとしても、今日のような場合は振替先の路線も遅延している可能性が高いため、いずれの経路も所要時間が通常以上にかかることになります。


「雪が降ってるのだから当然」、「安全第一」と言ってしまえばそれまでながら、1875年の観測以来初めてとはいえ積雪そのものは日常的に経験していることであり、各社とも相応の準備をしているであろうことが期待されます。


しかし、実際には今回のような季節外れではあっても超常的な現象ではない降雪のたびに遅延や運休が生じるということは、鉄道各社が遅延や運休を生じさせる程度の対応策しか施していないことを示唆します。


「台風や降雪の予報が出されるたびに電光掲示板に頻繁に表示される、「電車の遅延、運休が予想されるので、時間にゆとりをもって移動してもらいたい」という趣旨の案内は、結局のところ自分たちの準備不足が露呈することを隠すための便法なんだ」と利用者が顰蹙することがないよう、鉄道各社には荒天の中でも可能な限り運行の体制を維持する努力が求められます。


利用者は、電車内や駅構内で「本日は雪のため電車が遅れたことをお詫び申し上げます」という手引書に書かれた言葉を読み上げるだけの具体性のない放送を聞かされ続けることに違和感を覚えないほど、利用者の完成は摩耗していないのです。


1 11月積雪、1875年からの観測史上初. 日本経済新聞, 2016年11月24日夕刊19面.


<Executive Summary>
The Railway Companies Shall Conduct Their Best Performance Against Snowing (Yusuke Suzumura)


The trains of many lines were delayed by snowing on 24th November 2016. We demand to the railway companies form more elaborated plan at snowing or other disasters.

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クワトロスタジョーニ公演『ホフマン物語』

昨日は、19時から20時50分まで、豊洲シビックセンターホールにおいてクワトロスタジョーニ公演『ホフマン物語』全4幕を鑑賞しました。


今回の公演では4幕のうちプロローグの一部を割愛し、主役であるホフマンが過去の恋を物語るまでの過程が省略され、ルーテルを狂言回しとして日本語の台詞を担当させ、歌唱はフランス語の歌詞のままとする演出がなされました。


配役はホフマンが佐々木洋平、二クラウスとミューズが高柳佳代、リンドルフ、コッペリウス、ダペルトゥット、ミラクル博士が勝村大成、オランピアが沼田真由子、ジュリエッタが藤崎純子、アントニアが高居洋子、アントニアの母とステッラが畠山和子、ルーテルが光永聖であり、演奏はピアノが真島圭、フルートが伊藤賢、クラリネットが山口由夏と高井萌子、ファゴットが黒田紀子であり、指揮と演出が林憲秀でした。


プロローグの内容を再編することで物語が過去、現在、未来という三つの時間軸から現在と未来の話の様相を強くしたこと、さらにコッペリウス、ダペルトゥット、ミラクル博士を勝村が一人三役で演じたことで、「ホフマンとホフマンを通り過ぎた女性たちの物語」としての『ホフマン物語』に、ホフマンと対になる存在を作り出し、「ホフマンとホフマンを通り過ぎた女性たちとホフマンの前に現れる男たちの物語」という性格を与えたことは、作品の理解に幅を与えるという点で大いに評価されるべき試みでした。


一方、上演そのものについては、定員300名の会場にピアノと木管四重奏の伴奏で歌唱するという条件もあり、演者と聴衆との距離が近くなり、距離が近いゆえに物語全体よりは個別の場面や特定の歌に目が向きやすくなるという、二つの特徴が生じました。


演者と聴衆の距離の近さは、例えば第4幕でのアントニアとホフマンの二重唱で客席まで空気が震える様子を体感できたことなどは、大劇場では得難い経験であったといえます。


しかし、距離的な近さと、さらに聴衆にとって出演者の誰かが顔見知りである割合の高さとによって、客席において、しばしば物語全体の展開よりは特定の場面に焦点が当てられたことなどは、鑑賞の一つのあり方ではあるものの、制作者の意図との間に相違が生じたであろうことが推察されました。


さらに、演者の中にフランス語の歌詞に習熟していない者がいるのか、発音がしばしば不明瞭になり、伴奏に取り残されそうになる場面が散見したこと、さらにルーテルに歌手ではなく舞台俳優の光永聖を起用したことで、舞台上の演技が単調になる状況は防がれたものの、歌手と俳優の発声の方法の違いが冒頭から歴然としており、物語を進める役どころとしては力不足の感が否めませんでした。


このように容易に目につく難点はあったものの、全体としては緩慢になることなく物語が展開し今回の公演は、夜の東京湾を借景とするガラス張りの舞台の様子とも相まって、印象深いものでした。


何より、作曲者であるオッフェンバックが作品を確定させる前に死去したことを考えるなら、『ホフマン物語』は物語の大きな枠組みはあるものの、細部には様々な取り組みを行う余地が残されていることは明らかです。その意味で、今回の上演は、これまで多くの演出家や音楽学者たちが行ってきた『ホフマン物語』の種々の版の作成の歴史に、新しい版を加えることになったといえるでしょう。


<Executive Summary>
Stage Review: The Tales of Hoffmann (Yusuke Suzumura)

A hall opera The Tales of Hoffmann created by Offenbach was performed at the Toyosu Civic Hall on 22nd November 2016. Yohei Sasaki plaed the title role and Norihide Hayasi was the conductor.

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【開催4週間前】青フィル・西オーストラリア青少年管合同演奏会

来る12月20日(火)、19時より新宿文化センター大ホールにおいて、青フィルと西オーストラリア青少年管弦楽団の合同演奏会「青山フィルハーモニー管弦楽団 Western Australian Youth Orchestra 親善ジョイントコンサート」が開催されます。


青フィルは、2015年7月22日(水)に行われた第1回伊藤忠サマーコンサートにおいてニューヨーク・シンフォニック・アンサンブルの演奏会に客演し、ヴェルディの歌劇『アイーダ』の凱旋行進曲を演奏しています。


一方、今回は西オーストラリア青少年管との合同演奏会となるため、青フィルにとっては来日する外国の演奏団との間で行う初めての合同演奏会となります。


年末のお忙しい時期とは思いますが、皆様のご来場をお待ちしています。


なお、演奏会の詳細については今後適宜本欄でお伝えする予定です。


<Executive Summary>
First Announcement: A Joint Concert of the Aoyama Philharmonic Orchestra and the West Australian Youth Orchestra (Yusuke Suzumura)


The Aoyama Philharmonic Orchestra (APO) and the West Australian Youth Orchestra (WAYO) will hold a concert jointly at the Shinjuku Bunka Center on 20th December 2016. This concert is the first opportunity for the APO to hold a joint concert with a overseas orchestra like the WAYO.

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「銀座線の部分運休」で不十分だった3つの点は何か

昨日と一昨日、銀座線渋谷駅の移設に伴う銀座線の部分運休の第二期分が実施されました。運休されたのは渋谷駅から表参道駅と青山一丁目駅から溜池山王駅までの区間であり、運休の期間は両日とも始発から終電まででした。


部分運休の第一期は11月5日(土)と6日(日)に行われたため、11月3日(水)から5日(土)までフランスのアルザス欧州国際日本学研究所で開催されていた国際シンポジウム「人間の試練にさらされる〈自然〉」に出席してた私は前回の運休を経験することはありませんでした。そのため、第二期の運休への事前の対応がどのように行われ、当日の状況がどのようであるかが興味深く思われました。


両日とも銀座線を含む東京地下鉄の各線を利用するとともに、過去1か月間の東京地下鉄の対応を注視していたところ、特に改善を必要とする事項を3点ほど確認することが出来ました。


1点目は事前の案内の不足です。すなわち、東京地下鉄の公式ウェブサイト上で注意を喚起し、駅構内にも案内を掲出してはいたものの1、銀座線以外の路線での案内が不足し、駅構内の電光掲示板や車内放送で運休を知らせる取組がなされていませんでした。


確かに、現在の日本が高度に情報化された社会であることを考えれば、インターネット上に情報を提供すれば多くの利用客にとって十分かもしれません。


しかし、例えば実際に上陸するか分からない「台風の接近」について、上陸が予想される日の前日から電光掲示板で案内し、車内放送を繰り返し、「翌日は台風の接近に伴い、始発から電車が遅延、運休することがあります」と告げることを考えるなら、運休することが確実である11月5日、6日、19日、20日の案内を、車内放送や電光掲示板を活用し、徹底して実行するべきであったでしょう。


また、当日、銀座線の部分運休の案内が駅構内や車内で行われていたものの、運行している区間の電車の本数が通常通りであるのか否かについて情報の提供がなかったことも、問題とされるべき2つ目の事項でした。


もちろん、これらの情報もインターネット上で事前に入手できますし、事前に通知することで部分運休の日が誤解される懸念もあるでしょう。


それでも、誰もが東京地下鉄の公式ウェブサイトを閲覧しているのではない以上、あらかじめ運転間隔が通常と異なるという情報を車内放送や電光掲示板などを利用して乗客に伝えるべきでした。


そして、改善すべき3点目は、車内放送です。


第二期の部分運休中、半蔵門線、有楽町線、日比谷線、丸の内線では、「渋谷駅の大規模工事のため銀座線は一部区間で運休しています。ご迷惑をおかけしますが、皆様のご理解、ご協力をお願いいたします」という趣旨の車内放送がなされていました。


「皆様のご理解、ご協力をお願いいたします」という文言はこの種の車内放送ではしばしば耳にする内容であり、一見すると事業者側が利用者の理解を求めているかのようです。


しかしながら、実際にはたとえ利用者が部分運休の趣旨を理解せず、あるいは部分運休に協力しないとしても事業者側はそのような意向に構うことなく部分運休を行うことは明らかです。


従って、「皆様のご理解、ご協力をお願いいたします」という一文は不要不急の、しかもあたかも2014年9月に東京地下鉄が始めた電車内の空調設備の使用の状況を伝える案内と同様の、虚飾的な意味しか持たないものなのです。


このように、今回の銀座線の部分運休には、事業者側に種々の不足や不備のあったことが分かりますし、この他にも高齢者や外国人の利用者への対応の不十分さなどは早急に対応が必要でしょう。


今後も銀座線を含む各線、あるいは東京地下鉄以外の各事業者が部分的ないし全面的な運休を行うことでしょう。


その際に、今回の不十分な事項を反省するとともに、適切な対応を計画し、実行することが期待されます。


1 銀座線渋谷駅 線路切替工事のため銀座線 渋谷~表参道間、青山一丁目~溜池山王間を運休します. 東京地下鉄, 2016年9月13日, http://www.tokyometro.jp/news/2016/156831.html (2016年11月21日閲覧).


<Executive Summary>
Tokyo Metro Shall Take Refuge for Inadequacies of Partial Cancellation of the Ginza Line (Yusuke Suzumura)


The Tokyo Metro conducted the second partial cancellation of the Ginza Line on 19th and 20th Novemer 2016. On this cancellation, there were some inadeqacies when we examine it carefully.

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