2010年度 (筑波大)

2011年2月の記事一覧

線形代数III (2月2日)

今回は線形写像の行列表示について。

まず、数ベクトル空間の間の線形写像の行列表示についての復習。
対応する行列は、標準基底の行き先を標準基底で展開した等式を、
行列の形で書き直すことによって現われる。

抽象ベクトル空間の場合も、同様に考えれば線型写像から行列が定まる。
すなわち、f: U -> V が線形写像だとすると、U, V の基底をひとつ決めて、
U の基底の行き先を V の基底で展開した等式を行列の形で書けばよい。
このようにして定まる行列を、f の表現行列という。
定義によって、表現行列は基底の取り方に依存することに注意。

後半は、基底の取り替えによって表現行列がどう変わるかについて。
基底の変換行列の定義。変換行列は正則であること。
最後に、基底を取り替えると、
表現行列は基底の変換行列でサンドイッチしたものに変わること。

今日の反省:今回は表現行列の階数と、
線型写像の rank の対応の話までしたかったのだけれども、時間切れ。
今年度の講義は物理学類対象ということもあって、
証明よりも考え方の解説に時間をかけている。
その分、以前に担当したときよりも時間に余裕ができるかなと思っていたのだけれども、
そうも行かないようだ。以前よりも、板書のペースを落としたということもあるけど。

来週の水曜は 11日の振替のため、次回は 2月16日。次元定理。