錯視 日誌

2013年7月の記事一覧

ポンゾ錯視の発見者は誰か?

次の図をご覧ください.

ポンゾ錯視


右側の円の方が左側の円より大きく見えますが,実は合同なものです.この種の錯視を現在ではポンゾ錯視といいます.しかしポンゾ錯視はポンゾが発見する以前から知られていました.ポンゾ錯視を発見したのはだれか?
この謎に答えを与えた小論文を Read & Researchmap にアップしました.

新井仁之・新井しのぶ
Ponzo錯視の源流を探る - Ponzo錯視は W. Holtzにより1893年に発見されていた -
(English Title)
Hitoshi Arai and Shinobu Arai
Tracing the history of Ponzo illusions - A Ponzo illusion was discovered by W. Holtz already in 1893.
Tech. Reports of Math. Vision Sci. Lab. No. 5 (Jul. 29, 2013)
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新事実を発見!カフェウォール錯視は1893年に発見されていた

 カフェウォール錯視という錯視をご存じでしょうか.次のような図で起こる目の錯覚のことです.


カフェウォール錯視



 白と黒の四角形が交互に並んでるところに,グレーの水平方向の線が3本走っています.このグレーの灰色の線が傾いて見えるかと思いますが,しかし,そう見えるのは錯覚で,実は3本とも水平方向の平行な直線です.特にグレーの線が黒い場合は,この図形はミュンスターベルグ錯視と呼ばれています.

 さて,このカフェウォール錯視を最初に発表したのは誰で,いつごろか? 現在の錯視関係の教科書や専門書,論文等では Gregory and Heard の1979 年の論文,あるいは Fraser の 1908 年の論文がその出どころとされています.(カフェウォールの命名者は Gregory and Heard です.)
 ミュンスターベルグ錯視はもう少し古く,その発見者は Munsterberg (1897) (u は u ウムラウト), あるいは本によってはMunsterberg (1894) とされています.

 しかし,今回,新井・新井は,これらのどれよりも古い 1893 年の別人による論文で,じつはカフェウォール系の錯視がすでに論じられていることを発見しました.
 この錯視研究史を揺るがす(?)新事実の発見と詳細を記した報告書を一昨日「資料公開」しました:

 新井仁之・新井しのぶ 
 『テンプル・ウォール錯視からカフェ・ウォール錯視へ - カフェ・ウォール・タイプの錯視は 1893年に発見されていた -』,視覚数学e研究室報告,No. 4,,Jul. 22, 2013.


(English summary)
H. Arai and S. Arai discovered that a cafe wall type illusion was discussed already in 1893 by J._R. Plumandon.

Reference
Hitoshi Arai and Shinobu Arai
From the temple Wall Illusion to the Cafe Wall Illusion
- A Cafe Wall type illusion was discovered already in 1893 -
Tech. Reports of Math. Vision Sci. Lab, No 4 (Jul. 22, 2013).


ご興味のある方は,どうぞご覧ください.

© Hitoshi Arai and Shinobu Arai, 2013.

Key Words:   カフェウォール錯視, Cafe Wall Illusion, ミュンスターベルグ錯視,Plumandon 錯視,Plumandon illusion, Temple Wall Illusion .
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