錯視 日誌

2018年3月の記事一覧

訃報 増田久弥先生

増田久弥先生の訃報がありました。謹んでお悔やみ申し上げます。
増田先生には、私が86年に東北大学理学部数学科の助手になりましたときから、専門は異なるのですが、たいへんお世話になりました。当時、増田先生は東北大学の教授をされておりました。その後、先生は東京大学、そして立教大学に移られ、再び東北大学に着任されました。そして99年に明治大学に移られました。

今から30年以上も前のことですが、私が東北大に赴任するために仙台のアパートを物色しながら市内を歩いていたとき、たまたま歩道橋の上で増田先生にお会いしました。そのとき仙台にどんな店があるかを教えてくださり、
「むこうの藤崎デパートは仙台の老舗で、何か必要なものがあればそこで買うと良いですよ」
と話されていた光景が今でも鮮やかに蘇ってきます。

先生が編集・執筆された『応用解析ハンドブック』(シュプリンガー東京/丸善)は、単なるハンドブックを超えた本です。少し大判で、ハードカバー。638ページに及んでいます。この本は第1部基礎編と第2部応用編からなりますが、増田先生は第1部を全部執筆されました。この部分は、非線形解析学の非常にわかりやすい教科書になっています。
第2部は8人の方々がそれぞれの専門分野についてサーベイを執筆しています。じつは私もその中に入れてもらっております。東北大の先生の研究室で私の担当部分について打ち合わせをしたのも、もう20年以上前のことです。
昨年、お葉書を頂いたのが私にとって先生との最後の思い出となってしまいました。とても悲しく、残念です。


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最終講義:視知覚の数理科学 3月10日

最終講義です。

2017年3月10日(土)11:00-12:00
東京大学・大学院数理科学研究科大講義室
新井仁之:視知覚の数理科学

さまざまな錯視もお楽しみいただけます。どうぞお気軽にご来場ください。
参加費無料、事前予約不要です。

講演内容:
本講演では、脳内の視覚情報処理の数理モデルとその応用に関して、講演者による結果を中心に述べる。まず数理モデルを作るために考案したかざぐるまフレームレットについて概略を述べ、それを基礎に構成した視覚情報処理の非線形モデルを概説する。さらにこれらを用いて行った各種の錯視の解析を示す。錯視は人の視知覚のメカニズムを解明する上で鍵となる極めて重要な知覚現象であると考えている。先端的な数学を用いることにより、錯視に関して従来の方法では得られなかったような多くの新しい知見が導かれる。このほか、本研究の応用として得られるさまざまな画像処理技術についても、実例を交えながらいくつかの結果を示す。

詳細
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/seminar/2018/sem18-050.html
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