錯視 日誌

2018年12月の記事一覧

赤い表紙の正則関数と緑の表紙の有理型関数

『正則関数』が12月12日に発売され、『有理型関数』が同月27日に発売予定です。有理型関数の見本が昨日届きました.
「数学のかんどころ」(共立出版)というシリーズの第36巻と第37巻です。



詳しい目次等は次のサイトをご覧ください。
正則関数
有理型関数

著者のホームページ内の本書情報サイトはこちら
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放送大学山形学習センター出張講演会

昨日、日曜日に放送大学山形学習センター出張講演会をしてきました。前日雪が降り始め、天候が心配でしたが、幸い雪はやみ晴れてくれました。講演のタイトルは『数学で探る錯視の謎』でした。1時間30分の講演でしたが、多くの方々にご来場いただき、熱心に聴いていただけました。どうもありがとうございました。
会場は駅前にある放送大学山形学習センターではなく、山形大学小白川キャンパスのふすまホールというところでした。山形大学(山形市)に行ったのは、二十数年前に理学部で実解析の集中講義をしたとき以来です。
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早稲田大学数学教育学会@新3号館で講演

 昨日,早稲田大学数学教育学会第37回大会の講演会で「数学的方法による視知覚の研究と画像処理,アートへの応用」というタイトルの講演をしました.
 場所は早稲田大学3号館でした.政治経済学部の校舎で,古い建物が内包された最新の大きなビルです.おそらく学生の教室移動によるエレベータの渋滞を避けるため,校舎のほぼ中央にある吹き抜けに,6階までのエスカレータが設置されています(私の居る建物の教室移動用のエスカレータは5階まで!).エスカレータを上がっていくと,周囲には近未来的なビルがレトロな旧校舎を飲み込んでしまったような不思議な光景が上から下に移り変わっていきます.これは圧巻です.
 昔は早稲田大学(早稲田キャンパス)は古めかしい建物ばかりでしたが,今は a.e. で新しいものになり,早稲田のイメージに反して,オシャレなキャンパスに変貌を遂げています.

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ムンク展に行って

夕方,ムンク展に足を運びました.上野の東京都美術館です.ここは通常夕方5時30分までの開館ですが,金曜日に限っては夜8時まで開いています.
ムンクといえば「叫び」が余りにも有名で,今回の展覧会の目玉の一つでありますが,そのほかにも多くの作品が年代順に展示されています.私は正直なところ「叫び」以外の作品を知りませんでしたが,今回,彼のさまざまな絵画,版画を見ることができました.知らないということもあって,行く前はあまり期待はしていなかったのですが,最初に展示されているいくつかの自画像を見て,描かれたムンクの強烈な自己に圧倒されました.これはすごい!思わず襟を正しました.
今回の展覧会で印象に残った作品は,「地獄の自画像」,「フリードリッヒ・ニーチェ」,どこか郷愁を誘う「並木道の新雪」,そして「叫び」でした.特に,叫びの背景の歪んだ空間,それはあたかも強い力によってねじ曲げられたようで,その歪みを表す色が見る者の心に土足で踏み込んでくるため,否応なく見入ってしまいます.
「叫び」は人気のある絵なので,人の集中を避けるために,「不安」,「絶望」という作品と共に陳列され,そこを観衆は整列して移動しながら見学する方式がとられていました.この3作品を見て,言葉からの連想ですが,展覧会から帰ったらキルケゴール「死にいたる病」を読んでみたいという欲求に駆られました.何度目かの挑戦になります.なかなか素人には手強い本です.

ところで,展覧会場のパンフレットで知ったのですが,12月25日に「ムンク展,こどものための鑑賞会」が12月25日に開催されるそうです.ーこどものための? 今はこどものための様々な催しや,公開講義があってうらやましい限りです.私が子どもの頃は,そのようなものはなかったような気がします.
余計なことですが,かく言う私も12月26日に小・中・高校生の方々に『なぜ見える? 数学でせまる錯視のなぞ』というテーマの講演をします.平成30年度 中谷財団 科学教育振興助成 成果発表会 の特別講演です.
こういった催しへの参加をきっかけに,子どもたちが芸術や科学に興味をもち,少し贅沢を言えば,将来科学,芸術に大きな貢献をする人が出てくると,それは遠い将来のことでしょうから催している側の者は今は知ることができませんが,そうなることを想像してみると無性にうれしくなります.熱心な子どもは本当に輝い見えます.それを見られるのが,子ども向け講演をする者の特権かもしれません.

展覧会の絵 - 「見る」ことを研究し始めた数学者が見た美術の世界

 

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