錯視 日誌

2019年3月の記事一覧

今年の日本数学会賞出版賞

3月に東京工業大学で日本数学会が開催されました.学会ではさまざまな賞が発表されましたが,そのうちの一つである日本数学会賞出版賞が,斎藤毅先生,河東泰之先生,小林俊行先生の『数学の現在』(i巻,π巻,e巻,東京大学出版)に授与されました(授賞理由はこちら).
まことにおめでとうございます.

他には本間龍雄先生が出版賞を授賞されました.本間龍雄先生のご著書では,トポロジーの啓蒙書『新しいトポロジー―基礎からカタストロフィー理論まで 』(ブルーバックス)と本間先生の監訳された『数理科学の世界』(ブルーバックス)を学生時代に読んだことがあります.当時はカタストロフィーとその応用が非常に注目されていたように思います.『数理科学の世界』については,以前このブログでも取り上げさせていただいたことがありますが(数理科学を学べる本がほしい),ブログでほしいと言ったようなタイプの数理科学の新しい入門書がその後出版されたのかどうかは,まだ確認しておりません.

ところで『数学の現在』は多くの著者によるオムニバス形式の解説集ですが,じつは私も執筆させていただいております.e巻の第9講です.タイトルは『ウーブレットから視覚情報処理へ』で,主な内容は次のようになっております.
1.窓付きフーリエ変換vs.連続ウェーブレット変換
2.連続ウェーブレットから離散ウェーブレット
3.滑らかなウェーブレットとデータ圧縮
4.ウェーブレットを超えて脳内の視覚情報処理へ
5 .錯視,画像処理への応用,そして数学イノベーション

もし『数学の現在』e巻をご覧になることがありましたら,第9講にもお目を通していただければ幸いです.

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