錯視 日誌

2021年6月の記事一覧

ルベーグ積分の本と講義動画について雑感

ルベーグ積分の本として,古くから有名なものはサックスの『Theory of the Integral』です。また日本では,伊藤清三『ルベーグ積分入門』(裳華房)が良く知られています。私自身も大学1年の夏休みに『ルベーグ積分入門』を読みました。サックスや伊藤先生の教科書は抽象的測度論から入っているという点で,ルベーグ積分の本としては近代派と言えるでしょう。
これに対して一昔前,積分を極度に抽象化して線形汎関数として捉える急進的なブルバキ流の教育方法が提唱されました。これは(20世紀の)現代派です。
ルーディンの『Real and Complex Analysis』は近代派と現代派の折衷派といえるでしょう。

これらと比較するのは恐れ多いですが,私の講義動画(下記動画 (1), (2) 参照)や「ルベーグ積分講義」は古典への回帰かもしれません。

なお線形汎関数の方法としてのダニエル積分については下記の講義動画 (3) をご覧ください。積分が抽象化され,そのため無限次元空間上の測度や積分も見通し良く扱えるようになってます。


講義動画(1):ルベーグ測度入門

 

講義動画(2):ルベーグ積分入門

 

講義動画(3):ダニエル積分と無限次元空間上の測度(確率論への応用)

 

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オンライン応用線形代数講義:一般逆行列入門

アップしました。
一般逆行列の入門講義です。特にムーア・ペンローズ一般逆行列に焦点をあてて解説し,最小2乗解への応用,多項式曲線によるデータフィッティングへの応用について述べます。応用線形代数講義 No. 1「特異値分解入門 基礎から画像処理への応用まで」もあわせてご覧ください:

応用線形代数講義 No.1 https://youtu.be/2kJmGyEGwJU

参考書:新井仁之『線形代数 基礎と応用』(日本評論社)

 

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オンライン講義:ダニエル積分とその使い方 確率論への応用(講師 新井仁之)

実解析学講義番外篇です.
確率論や統計学では,与えられた分布をもつ独立確率変数の無限列がよく使われます.このような無限列の存在を保証する定理を一般化したものに角谷の定理があります.伊藤清先生がこの角谷の定理にダニエル積分を用いた別証明を与えています.この証明を本講義では,ダニエル積分とその使い方を述べつつ解説します.

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