2014年2月の記事一覧
不安に関する新たな発見
うすうすとは感じていたのですが、最近、不安に関する新たな発見がありました。これは、もう少しデータを蓄積して、来年あたり臨床心理学系の学会に発表するつもりです。
こういうことです。
私は、いま、ブリーフセラピーをもっぱら行っています。インテーク面接は、情報を収集するというよりも、短気力動精神療法のトライアル・セラピーのように行ってみます。つまり、クライエントが体験過程に初回からコンタクトするように、比較的インテンシヴに働きかけるのです。涙を流す方もいますし、とてもディープなカウンセリングになることがあります。
私はこのようなインテーク面接が始まる前と、終わった後に、STAIの状態不安を測定しています。インテークの前後で不安・緊張がどのように変化したのかモニターするのです。もちろん、このとき特性不安も測定させていただきます。特性不安は、ブリーフセラピーが終結するときも測定します。つまり、データとしては、インテーク時の前後の状態不安、セラピー開始前後の特性不安のデータが揃うわけです。
こんなことを発見しました。
インテークにおいて、状態不安が逸脱値から正常値に下降する人たちを状態不安変化群とします。そして、ブリーフセラピー開始時に特性不安が逸脱値を示していた人が終結時に正常値に下降するものを特性不安変化群とします。
なんと、インテーク時の状態不安変化群の93%が、終結時の特性不安変化群に当たることが判明しました。つまり、クライエントの特性不安に関するセラピーの効果を、インテーク時点で、状態不安の変化から予測することができるのです。まあ、ドロップアウトした人を含めると、88%の人たちを予測ということで、少し値が下がるのですが。
セラピー関係がクライエントに安心感・安全感を与えることで状態不安は下がります。それが、のちのちのセラピーの効果を予測することができるのです。反対に言えば、インテーク時に状態不安が正常値に下降しなかったり、あるいは上昇してしまう場合には、セラピー終結時に特性不安に変化がないか、あるいは悪化させてしまう可能性が高まるのです。
これ、ヴィゴツキーの発達の最近接領域の理論を応用した、ダイナミック・アセスメントそのものですね。クライエントのいまある否定的側面や肯定的側面をアセスメントするのではなくて、ポテンシャルといいますか、近い将来をアセスメントするわけですからね。精神医学・精神病理学の領域では、ブランケンブルグが見据えつつも実現することのできなかった領域です。
来年の心理臨床学会か、日心か、感情心理学会で発表するつもりです。かなり強い法則性が感じられます。実証的にも基準をクリアできそうです。
ではまた書きます。
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カウンセリングに向いている人、いない人
こういうことです。
私は、いま、ブリーフセラピーをもっぱら行っています。インテーク面接は、情報を収集するというよりも、短気力動精神療法のトライアル・セラピーのように行ってみます。つまり、クライエントが体験過程に初回からコンタクトするように、比較的インテンシヴに働きかけるのです。涙を流す方もいますし、とてもディープなカウンセリングになることがあります。
私はこのようなインテーク面接が始まる前と、終わった後に、STAIの状態不安を測定しています。インテークの前後で不安・緊張がどのように変化したのかモニターするのです。もちろん、このとき特性不安も測定させていただきます。特性不安は、ブリーフセラピーが終結するときも測定します。つまり、データとしては、インテーク時の前後の状態不安、セラピー開始前後の特性不安のデータが揃うわけです。
こんなことを発見しました。
インテークにおいて、状態不安が逸脱値から正常値に下降する人たちを状態不安変化群とします。そして、ブリーフセラピー開始時に特性不安が逸脱値を示していた人が終結時に正常値に下降するものを特性不安変化群とします。
なんと、インテーク時の状態不安変化群の93%が、終結時の特性不安変化群に当たることが判明しました。つまり、クライエントの特性不安に関するセラピーの効果を、インテーク時点で、状態不安の変化から予測することができるのです。まあ、ドロップアウトした人を含めると、88%の人たちを予測ということで、少し値が下がるのですが。
セラピー関係がクライエントに安心感・安全感を与えることで状態不安は下がります。それが、のちのちのセラピーの効果を予測することができるのです。反対に言えば、インテーク時に状態不安が正常値に下降しなかったり、あるいは上昇してしまう場合には、セラピー終結時に特性不安に変化がないか、あるいは悪化させてしまう可能性が高まるのです。
これ、ヴィゴツキーの発達の最近接領域の理論を応用した、ダイナミック・アセスメントそのものですね。クライエントのいまある否定的側面や肯定的側面をアセスメントするのではなくて、ポテンシャルといいますか、近い将来をアセスメントするわけですからね。精神医学・精神病理学の領域では、ブランケンブルグが見据えつつも実現することのできなかった領域です。
来年の心理臨床学会か、日心か、感情心理学会で発表するつもりです。かなり強い法則性が感じられます。実証的にも基準をクリアできそうです。
ではまた書きます。
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