2010年8月
地域づくりにおける保健師のマネジメント能力の開発・発展過程 : 研究者と実践者の協働的アプローチより
千葉看護学会会誌
- 巻
- 16
- 号
- 1
- 開始ページ
- 45
- 終了ページ
- 52
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 千葉看護学会
研究者が意図的に介入した地域づくりにおいて,保健師がマネジメント能力を開発・発展させた過程を研究者の関わりの意図との関連で明らかにした。アクションリサーチを平成18年8月から平成19年8月まで行い,保健師の振り返り日誌と研究者自身による活動記録に基づき,地域づくりにおいて保健師が発揮したマネジメント能力と研究者の関わりの意図を抽出した。それらを保健師と地域の変化の局面ごとに整理し,マネジメント能力の開発・発展過程と研究者の関わりの意図を照合した。その結果,地域の目指す姿や課題の明確化およびマネジメント活動におけるしくみづくりについて,研究者が意図的に働きかけたことにより,『地域づくりの先を見通して活動を計画する能力』など2つのマネジメント能力を開発させていた。また,活動後に研究者が活動の成果と今後の課題を確認する働きかけを行ったことなどが影響し,『地域づくりの目指す姿に照らして活動の成果を評価する能力』は,『評価した住民の主体性を根拠に地域づくりの活動の方向性を修正し具体的計画へフィードバックする能力』に発展するなど2つのマネジメント能力を発展させていた。研究者の関わりの意図の特徴より,地域づくりにおけるマネジメント能力の開発・発展には,(1)地域づくりの目指す姿を明確にする,(2)マネジメント活動を意識的に行いマネジメントサイクルを動かす,(3)しくみづくりを推進していく,(4)次の活動につながる課題を整理する,(5)活動を随時批判的に振り返り意味づける,ことが有効であると示唆された。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1344-8846
- CiNii Articles ID : 120007065149