共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

抗がん剤治療を受ける患者の静脈穿刺困難をなくす-硬結予防アルゴリズムの開発―

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K12912
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本研究の目的は、抗がん剤の点滴静脈内投与において、血管外漏出が発生した際の皮膚障害である皮下組織の硬結を予防するための判断と行動のアルゴリズムを作成することである。
抗がん剤の血管外漏出が皮下組織に侵襲を及ぼし、炎症、潰瘍、壊死などを発生させることは広く知られている。臨床現場において、血管外漏出を早期に発見し、これらの皮膚障害を予防しようとする試みが行われてきたが、すべての皮膚障害を予防するに至っていない。抗がん剤治療を継続して受けている患者にとって、血管外漏出後の皮下組織の硬結は、皮下組織の変化による苦痛のみならず、その後の抗がん剤投与の際の静脈穿刺を困難にすることから、治療の継続の困難に至る可能性がある。2人に1人ががんに罹患する我が国において、抗がん剤の血管外漏出による皮下組織の硬結の予防策を確立することは、重要な課題である。
本研究チームは、これまで血管外漏出を早期に発見する方法として、赤外線サーモグラフィーに着目し、抗がん剤の投与中に赤外線サーモグラフィーで皮膚表面温度を観察することによって、その温度変化から血管外漏出を肉眼的観察よりも早期に発見できることを明らかにした。また、この血管外漏出が硬結の発生と関連する可能性を見出してきた。
研究の初年度である今年度は、主任研究者が過去に行った研究のデータをもとに、硬結を予防するためのアルゴリズムの試作版を作成し、学術集会で公表した。さらに、そのデータを使って、硬結の予測力を算出した。その結果、感度93.6%、特異度96.7、陰性的中率99.6であったが、陽性的中率は65.2であり、課題が残った。

ID情報
  • 課題番号 : 19K12912