共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年 - 2018年

環境エンリッチメントとしての“香り”の有効性の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究
  • 坂本 亘

課題番号
18H00363
配分額
(総額)
530,000円
(直接経費)
530,000円
(間接経費)
0円

環境エンリッチメント(Environmental Enrichment、以下EE)は、実験動物であるマウスにおいても導入が推奨されているがコストやスペースの問題により広く普及するには至っていない。今回、マウスへのEEとして、ヒトの生活環境において重要な役割を果たしている“香り”に着目し、その有効性について調査した。実験には4種類の香り成分を用い、試験濃度は0.001Mとした。マウスへの曝露は、乾綿に定量を染み込ませステンレスメッシュ容器に入れケージ蓋に静置し行った。また、通常ケージのコントロールと別にケージ内にShepherd Shack+Mouse Swing Wを設置したEE区を設けた。操作は、群飼育されたC57BL/6J系統の雄マウス(7~8週齢)から採尿を行い個別飼育に変更し、24時間後、再度採尿を行った(個別飼育ストレス)。翌日、保定器で1時間保定した後、採尿を行った(拘束ストレス)。採尿は一定の時間帯で行い、個別飼育変更前の平常時の尿中コルチコステロン(CORT)濃度を1とした場合の比率によりストレスを評価した。またOpen-field test(OFT)を行い移動量や後肢立ち上り回数、排糞数を比較した(フィールドサイズ : 450mm*450mm、観察時間 : 10分間)。
個別ストレス負荷後、尿中CORT値の比率は、0.96(EE区n=5)<1.39(実験区④n=8)<1.43(コントロールn=8)<1.48(実験区③n=7)<1.49(実験区②n=8)<1.76(実験区①n=8)の順でEE区を除き増加した。拘束ストレス負荷後は、1.78(実験区②)<1.83(実験区③)<1.87(EE区)<1.94(実験区①)<2.21(実験区④)<2.69(コントロール)の順となり、すべての区で増加した。またOFTにおいて移動量と後肢立ち上り回数では差は見られなかった一方、排糞数はEE区と実験区でコントロールより低値を示した。
今回の試験濃度において、有意差は得られなかったものの、香り成分存在下で拘束ストレス負荷後、尿中CORT濃度の比率がEE区と同様に低く抑えられる傾向が見られ、OFTにおける排糞数もEE区と同様に少なく、強いストレスや不安に対する香り成分の緩和効果の可能性が示唆された。

ID情報
  • 課題番号 : 18H00363