共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年 - 2015年

マウス乾燥精子のDNA損傷および受精能・発生能に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究  奨励研究

課題番号
15H00443
体系的課題番号
JP15H00443
配分額
(総額)
600,000円
(直接経費)
600,000円

近年、セルロースベースのカードを使った乾燥血液やDNAサンプルの輸送や室温保存が可能となり、サンプル作製の作業効率化や輸送や保存コストの削減に大きく寄与している。これをマウス精子に応用できれば、高額な機器を必要とせずサンプル作製が可能となるだけでなく、厳密な輸送温度管理や専用容器を必要としない為、普通郵便を使って遺伝子改変マウスの授受が可能となる。そこで、マイクロチューブおよび紙媒体上にて自然乾燥したマウス精子の発生能を調べるため、C57BL/6Jマウス精子をマウス精子の凍結乾燥に用いられるTE緩衝液に懸濁し、マイクロチューブ(MT区)及びセルロース紙上(CP区)で自然乾燥した後、卵細胞質内精子注入法(ICSI)により受精卵を作製し体外培養を行った。同系統の凍結融解精子を注入した区をコントロールとした(CT区)。その結果、注入した卵子の生存率は、CT区55.4%(30/54)、MT区65.6%(21/32)、CP区50.0%(14/28)となり、受精率はCT区90.0%(27/30)、MT区81.0(17/21)、CP区85.7%(12/14)であった。2細胞期および胚盤胞期への発生率はそれぞれ、CT区83.3%(25/30)および40.0%(12/30)、MT区33.3%(7/21)および4.8%(1/21)、CP区28.6%(4/14)および0.0%(0/14)であった。次に乾燥精子のDNA損傷を調べるため、コメットアッセイを行った結果、MT区及びCP区において、CT区と比較して明らかに長い彗星状のComet Tailパターンを示した。
マイクロチューブおよびセルロース紙上で自然乾燥したC57BL/6Jマウス精子を用いて1CSIを行った結果、生存率はコントロールと変わらないものの、受精率はやや低値を示し、保存媒体に係らず、2細胞期への発生率は低く、殆ど胚盤胞期まで発生しなかった。またコメットアッセイの結果、核DNAに損傷を受けていることが分かった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15H00443
ID情報
  • 課題番号 : 15H00443
  • 体系的課題番号 : JP15H00443