共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

生物的炭素隔離に着目した熱帯畑作地の生産と保全の両立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03113
体系的課題番号
JP20H03113
配分額
(総額)
17,550,000円
(直接経費)
13,500,000円
(間接経費)
4,050,000円

半乾燥熱帯で蔓延する貧困と飢餓の解決はSDGsでも取り上げられる喫緊の課題であり、その実現には、生産と保全を両立する土壌有機物管理法の確立が求められる。しかし、有機物分解が速い熱帯畑作地において、土壌へ有機物(炭素)を効率的に隔離する技術は未だ確立されていない。そこで本研究では「分解者である“土壌微生物群集機能の改善”が熱帯での炭素隔離に有効である(=生物的炭素隔離)」という仮説を立て、各種検証を行っている。
課題①:生物的炭素隔離に関する検討 堆肥とバイオ炭の同時施用による微生物群集の変化は炭素隔離を促進するのか?を検討するために、南インドの圃場から持ち帰った土壌、堆肥、バイオ炭資材を用いた短期培養試験を昨年遂行し、そこで得られた試料を用いて、土壌微生物の群集構造の変化と炭素分解量および炭素利用効率との関係性を検討した。この結果、堆肥とバイオ炭の同時施用により土壌微生物群集構造は明確に変化した一方で炭素利用効率の顕著な向上は見られず、同時施用による炭素隔離の効果的促進を実現するためにはさらなる知見の蓄積が必要であることが判った。また、現地圃場実験で作成した堆肥施用量が異なる履歴を持つ圃場を対象に、土壌微生物の群集構造と炭素利用効率との関係性を検討した結果、堆肥施用量の増加に伴い、土壌微生物群集が明確に変化し、それに伴って炭素利用効率が向上している可能性が示された。なお課題②についてはこれまでの結果から炭素分解抑制効果が低いことが判明している。一連の研究成果を国際誌において公表した。加えて、圃場でのバイオ炭施用が作物生産に与える影響についてまとめた成果についても、現地共同研究者と議論を重ね、投稿論文としてまとめた。
課題③:資源の利用可能性 現地における堆肥・バイオ炭利用も含めた農地管理の現状把握を行うために、現地共同研究者との議論に基づき作成した現地アンケート調査を実施した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H03113
ID情報
  • 課題番号 : 20H03113
  • 体系的課題番号 : JP20H03113