2013年
ミナミハンドウイルカの識別個体から得た鳴音の音源音圧のバリエーション
霊長類研究 Supplement
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- 巻
- 29
- 号
- 0
- 開始ページ
- 106
- 終了ページ
- 106
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.14907/primate.29.0_106_2
- 出版者・発行元
- 日本霊長類学会
ミナミハンドウイルカ (Tursiops aduncus) の鳴音,特にホイッスルに関する音響的・行動学的な研究は多くなされている.しかし彼らが実際にどのくらいの音圧で鳴音を発しているのかに関しては,水中という環境で研究することの困難さから情報が不足している.音源音圧は鳴音がどのくらいの距離で届くのかといった重要な情報をもたらすため,音声コミュニケーションの研究はもとより,船舶のエンジン音の影響など保全を考える上では必須である.本研究では識別された個体の発する鳴音の音源音圧を推定することを目的とし,そのバリエーションについて考えたい.2012年 9月から 10月に伊豆諸島御蔵島にて新規に開発した水中マイクアレー・ビデオシステムを用いてミナミハンドウイルカと併泳しながらその鳴音を収録した.複数の識別個体からホイッスル音を複数回取得した結果,ホイッスルの音源音圧はイルカの位置や姿勢によって影響を受けていることがわかった.つまり腹部中心が見える位置で録音したホイッスルは,それ以外に比べ音圧が低く,かつ倍音成分が消える.これはホイッスルが噴気孔付近あるいは頭部上方から発せられているためであると考えられる.イルカに対する録音場所も意識しながら録音・解析を行う必要があることがわかった.なお本研究は科研費基盤B (23310166) 『野生イルカ個体群保全のための非侵襲的計測手法の開発』による成果である.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.14907/primate.29.0_106_2
- CiNii Articles ID : 130005471416