2021年12月
磁性アタッチメントを利用したオーバーデンチャーの脳性麻痺患者への応用
広島大学歯学雑誌
- 巻
- 53
- 号
- 2
- 開始ページ
- 96
- 終了ページ
- 101
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 広島大学歯学会
症例は53歳男性。アテトーゼ型脳性麻痺の既往があった。動揺歯の抜歯により残存歯が少なくなるにつれて咀嚼しづらさを自覚していた。全顎的に咬耗を認め、特に前歯部では歯冠長の半分程度が咬耗していた。不随意運動や咀嚼により顎堤にかかる圧が均等になるよう配慮した義歯による補綴を行うこととした。上顎左右1番2番は磁性アタッチメント装着歯とし、磁性アタッチメントの維持力を補助するため左3番4番、右4番5番に双歯鈎を設置した。また、側方圧による負担を減らすためクラスプの先をアンダーカットに入れない設計とした。装着してから3ヵ月程度は上顎義歯は1日に1時間程度しか装着できず、下顎義歯は全く装着していなかった。定期的に義歯の調整を繰り返し、半年経過頃には上顎義歯の装着時間が少しずつ長くなり、就寝時以外は装着できるようになった。義歯作製から6年後、磁性アタッチメントの吸引力が弱くなった。上顎義歯の変形を認めたため、リスペースを行い、即時重合レジンにて再び磁性構造体を埋め込んだ。その後、吸引力は改善し義歯は問題なく使用できるようになった。
- ID情報
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- ISSN : 0046-7472
- 医中誌Web ID : 2022134091