共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年6月 - 2022年3月

多様な選択圧下での大腸菌進化実験による揺らぎ-応答関係の定量解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
17H06389
体系的課題番号
JP17H06389
配分額
(総額)
145,340,000円
(直接経費)
111,800,000円
(間接経費)
33,540,000円

進化の過程における表現型変化は任意の方向に起こるのではなく、そこには明確な制約と方向性が存在する。この進化過程における制約と方向性の問題に関し、物理学を背景とした理論構築が試みられ、同一遺伝子型個体の間の表現型の揺らぎの大きさと、その進化速度に比例関係があることが予測されてきた。そこで本研究では、大腸菌進化実験を用いることにより、表現型変化の制約と方向性の存在を定量的に明らかにすることを目的としている。
これまでに、申請者が開発したラボオートメーションを用いた全自動の進化実験システムを用いて得られた、酸・アルカリ・界面活性剤・抗生物質などのストレスに対する耐性大腸菌について、マイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析と、超並列シーケンサを用いたゲノム変異解析が完了している。それらの大規模データを解析することにより、様々に異なる選択圧の下で得られた大腸菌進化株であるにもかかわらず、遺伝子発現プロファイルや耐性プロファイルといった表現型は少数のパターンに拘束されていることが見出された。さらに、そのデータに基づいて、遺伝子発現プロファイルを低次元に次元圧縮した表現型空間上での適応度地形の推定を行い、この手法により適応度の定量予測が可能であることを確認した。加えて、昨年度までに立ち上げた、蛍光顕微鏡とフローサイトメトリーを用いた遺伝子発現量の揺らぎの解析系を用い、遺伝子発現の揺らぎの大きさと環境変化に対する応答を定量したところ、理論から予測されるように両者の間に正の相関があることを見出した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-17H06389
ID情報
  • 課題番号 : 17H06389
  • 体系的課題番号 : JP17H06389