共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年7月 - 2023年3月

高度科学技術化による社会不適応の実態解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
20K20649
体系的課題番号
JP20K20649
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

本年度は、まず、国際的に頻用されるメンタルヘルス評価システムのASEBAが新たに開発したメディア依存質問紙Media Activity Formの日本版の標準化と妥当性の検証を行い、論文化した。Cronbach のα係数は本人評価で0.90、保護者評価で0.91と良好な信頼性が得られ、Internet Addiction Test(IAT)との0.5程度の正の有意な相関により基準関連妥当性が示された。
昨年度には、本人記入に基づいた、メディア利用時間と意識の関係を、性別、発達障害の指摘歴の有無別に分析したが、本年度は保護者記入もあわせて検討した。「私の子どもはメディアに時間を費やしすぎている」などメディア利用に対するネガティブな意識が、11-18歳保護者(300名:男子63%、女子70%)の方が6-10歳保護者(100名:男子48%、女子50%)より高かった(p < 0.001)。対して、本人記入(保護者評価と対になった11-18歳の300名)では、上述質問(男子51%、女子56%)は保護者よりも低く、「私は、メディアを通して役立つ情報を得る」といったポジティブな回答が目立っており(男子83%、女子89%)、親子間で意識が異なっていた。また、発達障害の指摘がある男子はゲーム時間が長いもののネガティブな意識は目立たず、自覚がない可能性がある。指摘がある女子はコンテンツ制作やWEB閲覧の時間が長くネガティブな意識も見られ、やめた方がよいと思いながらも続けている可能性が示唆された。
さらに、不登校傾向の分析も行った。上記回答者300名のうち、月3回以上欠席、または月2回欠席かつ月3回以上の遅刻がある児童は12名であった。そのうち6名がIAT得点において依存可能性領域であり、その6名は全員が発達障害の指摘をされており、依存可能性のない不登校傾向児童は発達障害の指摘が見られなかった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K20649
ID情報
  • 課題番号 : 20K20649
  • 体系的課題番号 : JP20K20649