共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年4月 - 2017年3月

核内足場クロマチン構造を介したncRNA, IPWの作動機序の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
15H01470
体系的課題番号
JP15H01470
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
8,840,000円
(直接経費)
6,800,000円
(間接経費)
2,040,000円

現在までに10,000種類にも及ぶノンコーディングな転写産物が同定されているが,これらの分子群が遺伝子の数だけでは説明できないヒトのもつ多様性や複雑さを生み出すための巧妙な遺伝子発現制御を担っている可能性が示唆されている。ノンコーディングな転写産物の中でもmiRNAやpiRNAなどのsmall RNAはこれまでの精力的な研究によりその作用機序が詳細に明らかにされているのに対し,200nt以上の長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)と呼ばれる分子群の作用機序については,未だ不明な点が数多く存在する。最近の研究から核マトリクス(MAR)結合タンパク質,SATB1やhnRNP U/SAF-Aを介したlncRNAの作用機序が提唱され,lncRNAの局所的な染色体領域へ作用には何らかの足場構造(核マトリクス)なるものが関与している可能性が強く示唆された。我々は,15q11-q13領域のゲノムインプリンティングの発現制御機構を解析する中で,インプリンティングセンターから転写されるncRNA,SNORD116HGが周囲の脱凝集したクロマチンを足場に,IC から1Mb離れたMAGEL2, NDN遺伝子領域の核内配置の制御に関わっていることを明らかにしてきた。非常に興味深いことに, Satb1欠損細胞株において,15q11-q13領域のクロマチン脱凝集はコンパクトになり,且つMAGEL2, NDN遺伝子の発現も低下した。つまり,ncRNA,SNORD116HGはSatb1により作り出された脱凝集したクロマチンを足場に遠位のMAGEL2, NDN遺伝子領域作用している可能性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-15H01470
ID情報
  • 課題番号 : 15H01470
  • 体系的課題番号 : JP15H01470