2020年4月 - 2023年3月
語り物文芸論の再構築に向けた資料学的対照研究―〈地方諸藩〉の書物環境を視座にして
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
2021年度も新型コロナウィルス流行下での研究が続き、当初計画した調査の実施が困難であった。ただ、学会未紹介の近世期の幸若舞曲資料(個人蔵)を調査する等、新出の資料について一定の調査をおこなうことができた。また、一方で本研究の柱の一つである、語り物文芸論の再構築について、論文を執筆投稿できたのは、大きな成果である。具体的には、近年、日本古典文学研究の見直しの視座として、小峯和明らが提唱する〈環境文学〉の方法論を学び、幸若舞曲研究に活かしたことで、作品論が多い語り物文芸研究に新たな視点をもたらすことができたのではないかと考えている。また、説話文学研究会と軍記・語り物研究会の共催でおこなわれたシンポジウム「曽我物語と説話」(2021年4月24日)にコメンテーターとして参加する機会を得、その後、同テーマに関するコメントを「説話文学研究」に寄稿した。『曽我物語』研究の可能性を検討するなかで、とくに近世芸能研究の黒石陽子氏の報告を受け、近世の浄瑠璃における曽我物と、幸若舞曲との連続性を再認識できたのは、既存の語り物文芸論を見直す上で貴重な機会になった。また、研究分担者の鈴木彰氏が、本研究で主対象とする『曽我物語絵巻』に関連して、刀剣説話を絵巻化した『髭切膝丸絵巻』について考察を公刊できたのも重要な成果である。本研究の当初の計画では3年目に『曽我物語絵巻』に着手する予定であったが、前倒しで成果をだしたことになる。
なお、研究分担者の鈴木彰氏と南郷晃子氏とオンライン会議を重ね、幸若舞曲研究の問題点を共有し、地域資料の活用について積極的な議論ができたことも有益であった。具体的な展開は、最終年度になるが、さらに共同研究を進展させ、その成果の発信につとめたい。
なお、研究分担者の鈴木彰氏と南郷晃子氏とオンライン会議を重ね、幸若舞曲研究の問題点を共有し、地域資料の活用について積極的な議論ができたことも有益であった。具体的な展開は、最終年度になるが、さらに共同研究を進展させ、その成果の発信につとめたい。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K00305
- 体系的課題番号 : JP20K00305