2020年4月 - 2023年3月
情報量と音声的余剰性に関わる理論的・実証的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究
本研究はコミュニケーションにおける音声の余剰性 (phonetic redundancy) と、情報量 (information content) の関係について明らかにするものである。音声の余剰性とは調音時の労力に対応するものである。ゆっくり丁寧に話すことで音声の余剰性は高まり、音声の持続時間が上がったり、母音のフォルマント値が極端になったりする。情報量とは伝えたいメッセージの予測可能性に対応するものである。予測できるメッセージは情報量が低い。先行研究から「情報量の低いメッセージの音声産出時には、音声の余剰性が下がる」という予測を演繹し、この予測を自然発話コーパスを用いて明らかにした。
今年度は昨年度に引き続き、形態素の持続時間と形態素の予測可能性の関係について明らかにした。条件付き確率 (contextual predictability) に加えて、頻度 (frequency) と平均確率 (average predictability) も調査の射程に入れた。コーパスから得られたデータによれば、これらの3種類の予測可能性に応じて音声的余剰性が変化することが明らかになった。更に直前の形態素をコンテクストに持つ予測可能性よりも直後の形態素をコンテクストに持つ予測可能性の方が、音声的余剰性に強く影響していることが明らかになった。
また持続時間以外の音声的余剰性として、スペクトラムのピークに関して調査を行った。初期調査に留まるが、摩擦音のスペクトラムの値は情報量に応じて変化している面があることがわかった。最終年度にスペクトラムと予測可能性の関係について明らかにする予定でいる。
情報量と音声的余剰性の関係を明らかにすることで、我々の認知システムにおいてどの様に音声が記憶・計算されているかの仮説を検証する。
今年度は昨年度に引き続き、形態素の持続時間と形態素の予測可能性の関係について明らかにした。条件付き確率 (contextual predictability) に加えて、頻度 (frequency) と平均確率 (average predictability) も調査の射程に入れた。コーパスから得られたデータによれば、これらの3種類の予測可能性に応じて音声的余剰性が変化することが明らかになった。更に直前の形態素をコンテクストに持つ予測可能性よりも直後の形態素をコンテクストに持つ予測可能性の方が、音声的余剰性に強く影響していることが明らかになった。
また持続時間以外の音声的余剰性として、スペクトラムのピークに関して調査を行った。初期調査に留まるが、摩擦音のスペクトラムの値は情報量に応じて変化している面があることがわかった。最終年度にスペクトラムと予測可能性の関係について明らかにする予定でいる。
情報量と音声的余剰性の関係を明らかにすることで、我々の認知システムにおいてどの様に音声が記憶・計算されているかの仮説を検証する。
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- ID情報
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- 課題番号 : 20K13000
- 体系的課題番号 : JP20K13000
この研究課題の成果一覧
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論文
3-
Morphology 33(1) 41-63 2023年3月10日 査読有り
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Journal of Phonetics 87: 101061 1-17 2021年7月 査読有り
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Proceedings of the 10th International Conference on Speech Prosody 444-448 2020年5月 査読有り
講演・口頭発表等
6-
Laboratory Phonology 18 2022年6月24日
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東京音韻論研究会 2022年1月29日 招待有り
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The 29th Japanese/Korean Linguistics Conference 2021年10月11日
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5th Variation and Language Processing Conference 2021年8月27日
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日本音韻論学会 2021年度春季研究発表会 2021年6月19日 日本音韻論学会
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Speech Prosody 2020 2020年5月25日