共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2019年3月

反応断面積によるアイソマー状態の核半径測定法開発とその宇宙物理学への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
16H03905
配分額
(総額)
18,460,000円
(直接経費)
14,200,000円
(間接経費)
4,260,000円

原子核の基底状態と大きく違う性質を持つアイソマー状態は、原子核物理学として大いに興味深い研究対象であるだけでなく、いくつかの場合は宇宙物理学の 観点からもその重要性が指摘されている。そこで、原子核衝突の確率である反応断面積という物理量を用いてアイソマー状態の核半径を測定する手法を確立するため、新しい粒子検出器をいくつか開発した。その一つとして上げられるのが、重イオン用リング・イメージング・チェレンコフ検出器であり、これにより粒子速度の超高分解能測定を目指した。そのため、位置感応型光電子増倍管6台をチェレンコフ光センサーとして用い、チェレンコフ光リングの半径をこの6台のセンサーにより計測するシステムを開発した。そして、放射線医学総合研究所HIMAC重イオンシンクロトロン施設のビームを利用してテストした結果、132Xe 420A MeV のビームに対して、速度分解能δβ/β = 0.05 % という極めて良い値を達成することに成功した。ただし、全体のシステムに問題を発見し、そのため、センサーとして多重ピクセル光子検出器(MPPC)のアレイを複数台用いる構成で解決を試みた。その結果、システムの問題は解決され、速度分解能もMPPCわずか3台で光電子増倍管6台のシステムに匹敵する性能を達成できた。
アイソマーの核半径測定の最初の候補である 16N(0-) 状態についても平行して実験を行った。入射核破砕反応など高エネルギー重イオン反応により生成されるときの、アイソマーと基底状態の割合(アイソマー比)が違う2種類の生成方法(反応の種類)を用いて生成した 16N についてそれぞれ反応断面積を測定し、その結果、アイソマー状態と基底状態の間で核半径が有意に異なるという予備的な結果を得た。

ID情報
  • 課題番号 : 16H03905

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