論文

査読有り 筆頭著者 責任著者
2016年

災害時の利他行動に関する基礎的シミュレーション研究:1995年と2011年のボランティアでは何が違ったのか

実験社会心理学研究
  • 大門大朗
  • ,
  • 渥美公秀

55
2
開始ページ
88
終了ページ
100
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.2130/jjesp.1514

本研究では,大災害発生後の利他行動において,特に阪神・淡路大震災及び東日本大震災でのボランティア活動に着目し,どのようなダイナミックスで利他行動が生起したのかを把握し,実践的なツールとして活用できるようにするために基礎的なシミュレーション研究を行った。シミュレーションは,セル・オートマトンを採用し,周辺の状況に合わせてボランティア活動を行うとする近傍要因と,被災地からの報道といった遠隔要因から,ボランティア活動がどのように生起するかを想定した。2 つの震災を比較すると,阪神・淡路大震災では遠隔要因が強く作用し,ボランティアのピークが速く発生したが継続しなかったこと,逆に東日本大震災では,近傍要因が作用しピークが遅かったが継続したボランティアにはつながったこと,ただし,地方で起きたことから全体のボランティア数自体は減少したことが明らかになった。その上で,これまでの震災後の取り組みに提言を行うとともに,中心からしかボランティアが広がらない(中心局在化)モデルの限界に留意した上で,今後の災害時には近傍-遠隔要因のバランスに注目することの重要性を指摘した。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.2130/jjesp.1514
ID情報
  • DOI : 10.2130/jjesp.1514

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