2006年4月 - 2008年3月
光合成系の色素における超高速現象及び非線形光学応答の研究
文部科学省 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
植物および細菌類の光合成は、地上で最もエネルギー変換効率のよい組織を持つ。本研究では、光合成初期過程において、光アンテナの役割を果たす色素の一つであるカロテノイドのエネルギー緩和過程及び非線形光学応答を明らかにすることを目的とした研究を行った。
本年度の研究では、カロテノイドの励起状態における振動緩和過程に着目し、フェムト秒パルスレーザを光源とした非線形分光による観測を試みた。その上でまずは、非線形光学効果による微小信号の明確な測定を実現するために検出系の改善を行い、その結果、従来の検出系よりも100倍近く検出感度を向上させることに成功し、さらに検出可能波長領域を中赤外領域(〜1500nm)まで拡張することに成功した。この検出システムと光パラメトリック増幅器により得られた中赤外励起光(1100〜1400nm)を用いて、光学禁制状態であるS_1励起状態の異なる振動状態を選択的に2光子励起により生成し、振動緩和を含めたS_1励起状態ダイナミクスを詳細にわたり調べた。また、昨年度に改良を行ったフェムト秒時間分解誘導ラマン増幅・損失分光を本年度構築した検出システムに組み込み、多角的に励起状態における振動緩和過程を調べた。得られた結果から、カロテノイドのような巨大分子の励起状態においても振動緩和時間の長い特異的な振動モードが存在することが明らかにされ、このような振動モードが光合成初期過程における励起エネルギー移動において、重要な役割を果たしていることが示された。
本年度の研究では、カロテノイドの励起状態における振動緩和過程に着目し、フェムト秒パルスレーザを光源とした非線形分光による観測を試みた。その上でまずは、非線形光学効果による微小信号の明確な測定を実現するために検出系の改善を行い、その結果、従来の検出系よりも100倍近く検出感度を向上させることに成功し、さらに検出可能波長領域を中赤外領域(〜1500nm)まで拡張することに成功した。この検出システムと光パラメトリック増幅器により得られた中赤外励起光(1100〜1400nm)を用いて、光学禁制状態であるS_1励起状態の異なる振動状態を選択的に2光子励起により生成し、振動緩和を含めたS_1励起状態ダイナミクスを詳細にわたり調べた。また、昨年度に改良を行ったフェムト秒時間分解誘導ラマン増幅・損失分光を本年度構築した検出システムに組み込み、多角的に励起状態における振動緩和過程を調べた。得られた結果から、カロテノイドのような巨大分子の励起状態においても振動緩和時間の長い特異的な振動モードが存在することが明らかにされ、このような振動モードが光合成初期過程における励起エネルギー移動において、重要な役割を果たしていることが示された。
- ID情報
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- 課題番号 : 06J05013
- 体系的課題番号 : JP06J05013