2016年4月 - 2019年3月
身体投影学の確立による高齢者の手腕の操作範囲と制御能力の拡張
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
人工の身体を自身の身体と混同してしまうラバーハンド錯覚を各種のプロジェクタを用いて映像投影する複合現実感技術を、手に振懲(ふるえ)のある者のキーボードタイピングタスクに適用し、前年度開発の、手指3次元位置リアルタイム画像計測、指先トラッキンク、ユーザ意図推定、キー動的リマッピングの各機能と手指リアルタイムCG合成表示機能のソフトウェアを、下向設置の液晶モニタディスプレイ、机上投影型プロジェクタが実キーボードを仮想化し投影する机上との中間面にハーフミラーを並行配置する、2層型光学シースルー複合現実感表示系のハードウェアとを統合し、振戦を抑制し矯正するオーグメンティッドヒューマン型デスクワーク環境の実証機を構築した。この実証機に手を不随意に揺動させる外力装置を用いて振戦を模擬した被験者心理実験を行い、前年度の予備実験で得た振動抑箭制御がキータイピングデスクワーク作業を能率を向上させる確証を得た。また、車椅子利用者向け適用として前年度を開発した、通常前輪型のアナログ入力電動車椅子をベースにした拡張手投影機能を有するプロジェクタ搭載スマート電動車椅子1号機を基に、より運動性能の高いオムニホイール前輪型のデジタル入力電動車椅子をベースに2号機を開発し、投影型拡張手を床につけて車椅子自体を移動・旋回する、アンカリングされたラバーハンドをメンタルモデルとする、新規なオーグメンティッドヒューマン型モビリティの移動操作系を構築した。さらに、前年度実装した拡張手ネイティブアプリをクラウド型インターネット上のブラウザアプリに展開、汎用化し、専用ホームページにて一般公開した。これにより、オーグメンティド・ヒューマンの福祉分野への学術展開に留まらず、誰でもいつでもブラウザさえあれば、ユニバーサルかつ遠隔地間の手腕コミュニケーション支援環境を利用できるオープン型の社会貢献基盤を整えることができた。
- ID情報
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- 課題番号 : 16H02859