2017年4月 - 2019年3月
RNAアプタマースイッチを利用した低オフターゲット効果ゲノム編集法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
本研究では、RNAアプタマーを応用したCRISPR/Cas9システムの高機能化を目指している。ゲノム編集に用いられるCRISPR/Cas9は20塩基という長い配列認識が可能であり、生物ゲノムのDNA配列を自在に改変することができる。正確なゲノム編集を行うためには、細胞の遺伝子修復機構の一つである相同性組換えを介した効率的な編集が必要となる。そこで、その手法としてGemininアプタマーの取得による細胞周期特異的なCRISPR/Cas9の活性化を行うことを目指した。Gemininは細胞周期のS/G2期に高発現しているため、Gemininアプタマー配列を有するCRISPRのguide RNA (gRNA)に対するアンチセンスRNAがGemininと結合し、gRNAから解離することでCas9を活性化する。大腸菌内においてGemininタンパク質を作製し、SELEX法を用いたアプタマーの取得を試みた。8サイクル後に配列の収束が確認されたが、シークエンスによる解析の結果、候補となる配列が取れていないことがわかった。そこで、すでに報告されているRNAアプタマーであるバクテリオファージMS2のカプシドタンパク質と結合するMS2アプタマーを利用し、細胞周期特異的な活性化を行うことにした。MS2アプタマーの配列をgRNAのテトラループ部位の配列を置換したgRNAを作製し、活性を評価したところ、Cas9の活性に影響がないことがわかった。今後はこのアプタマーに結合するMS2 coat protein(MCP)と蛍光タンパク質、さらにCdt1タンパク質由来のS期分解ドメインを融合した阻害タンパク質を作製し、G1期におけるCas9タンパク質の活性が阻害されるかを評価し、相同性組換え効率の向上が見られるかも評価していく。
- ID情報
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- 課題番号 : 17J08531
- 体系的課題番号 : JP17J08531