基本情報

所属
神戸大学大学院 博士課程前期課程
セオ商事哲学事業部 newQ リサーチャー
美学相談〈ソフィスト〉 運営

連絡先
deinotatongmail.com
J-GLOBAL ID
201901020329678772

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分析美学を手がかりとして、フィクション、批評、美的なものと倫理的なものとの関係を研究しています。現在は、一方で、パーソンとフィクショナルキャラクタの表象、そして、特定のメディアを介したパーソンの現れとしてのペルソナの関係と受容についての理論の構築を行いつつ、他方で、修士論文に向けて、ポルノグラフィを中心に、虚構と現実の関わり、表象と社会的構成、そして趣味の倫理について、分析美学に加えて、分析哲学、分析フェミニズムの視座から研究を行い、社会的公正の実現に向けて、部分的にせよ、哲学がいかにして貢献しうるのかを考察しています。また、批評に美学の道具立てを応用する試みを行なっています。加えて、倫理学との隣接領域における研究も進めています。
以下、研究関心について説明します。

1. 芸術とは何か

卒業研究では、「芸術とは何か、そしてそれはどのようにして明らかになるのか」という題のもと、芸術の概念とそれを問う方法論について取り組みました。動機としては、芸術という概念が持つ特有の評価的な含みがどのようにして作り上げられたのかに関心があったからです。
第一に、分析美学における芸術の定義論を取り上げ、その成果から、必要十分条件の探索に加えて、第二に、芸術の概念史を追う必要を主張しました。主には、P. O. クリステラーの古典的著作「近代的な諸芸術の体系」にある、「芸術の体系すなわち、詩・絵画・彫刻・音楽・舞踊という五つの代表的な芸術形式を要素とする一つのグループが18世紀に始めて誕生した」とする主張を、それが依拠するアリストテレス、プラトンの言説を精査する限りでは根拠不十分であることを先行する議論を手がかりに示し、芸術の概念史の研究の必要性を主張しました。

2. 芸術から、様々な表現へ

芸術の概念の研究を進める中で、芸術という大きなカテゴリのみならず、絵画や写真、映画や音楽といった様々な形式のそれ自体の特徴に注目する重要性を再確認し、現在では、ファッション、アイドルなどいわゆる伝統的な芸術形式とはみなされないようなポピュラー文化の分析を進めています。
とはいえ、わたしは根っからのアイドルファンでもおしゃれ好きでもありません。しかしだからこそ、こうしたポピュラー文化に興味を持っています。
なぜなら、わたしたちが幼い頃から影響を受けてきた/受け続けているのは、こうしたポピュラー文化における表現であり、ゆえにこそ、生活に織り込まれたポピュラーなものの分析と批判からわたしたちの感性の日常的なあり方が(そしてその倫理的問題が)明らかにされると考えているためです。そこで、特に、わたしたちの身近に存在し、それに深く関わっている表現形式、すなわち、「人間の表象が鑑賞される文化」について取り組んできました。

3. パーソン、ペルソナ、キャラクタ

具体的には、アイドルやキャラクタをはじめとする人間のあるいは擬人的な表象が鑑賞される文化実践に関心を持ち、これまで、2017年末からネット文化に浸透しはじめたバーチャルYouTuberという、アイドル、YouTuber、そしてキャラクタ文化が重なり合った特徴的な文化について、メディア論、美学、スター研究を手がかりに、パーソン、ペルソナ、そしてフィクショナルキャラクタの三層からなる文化形式についての理論を構築しつつ研究してきました。今後、その美的特徴を明示化しつつ、倫理的問題との関係からも研究を続けていきます。

4. ポルノグラフィと社会的公正

修士論文に向けて、ポルノグラフィと社会的公正をテーマに研究を進めています。表象が現実にもたらす影響、現実に不公正をもたらすとされる表象の批判の可能性、そして、その批判の方法論を問うことで、社会的公正を達成するための分析・批判ツールとなりうる理論構築を目指しています。現在は、キャサリン・マッキノン とアンドレア・ドウォーキンの指摘を端緒として、現代の分析哲学、分析美学において議論されているポルノグラフィ論に依拠しつつ、ポルノグラフィの倫理的問題についての分析を行うための理論を作成しています。

5. SFスタディーズとSFの実践

英米圏のSFスタディーズを手がかりに、美学と接続しながら、SF実践の分析を行なっています。並行して、SFスタディーズと美学のアプローチからSF批評を実践しています。加えて、近年、ビジネスの現場で、未来を予測し、のみならず、あるべき未来のプロトタイプをデザインし、物語を介して共有、対話を深めるSFプロトタイピングはいかに実装 / 評価可能かについての研究を行っています。


6. 美学の実践としての批評

こうした理論構築の作業と並行して、分析美学や芸術学において提示された道具立てを批評に応用することを試みています。たとえば、虚構的ポルノグラフィと窃視の倫理性に関する議論を用いた映像批評や芸術のカテゴリを用いての、あるいは、映画の哲学や人形美学の議論を援用した作品批評を行っています。
理論と概念は自律的に構築されうるわけではなく、実践や実際の表現を記述、理解するためにあり、逆に、実践と記述は、理論と概念とによって部分的にせよ形作られうると考え、美学研究とその実践としての批評の往復をひとりの実践者として試みています。

7. 倫理学との接続

絶滅の倫理学:「宇宙は生まれるべきだったのか」という問いを中心に、現在デイヴィッド・べネターを代表とする反出生主義を手がかりにこの宇宙全体の絶滅の倫理的問題、そして、もし多元宇宙論を前提とするなら、多元宇宙を絶滅させることは倫理的にどのような問題をもたらすのかを考察しています。

ビジネス美学:企業や法人団体などが用いる広告表現の倫理的問題を、分析美学とジェンダー論から分析する試みを行なっています。ビジネス倫理学と協働して、望ましい広告表現の可能性を考察しています。


ブログ
・『Lichtung』にて、分析美学に関する研究ノートを公開しています。http://lichtung.hatenablog.com/
・『Lichtung Criticism』にて、分析美学を手がかりとしたバーチャルYouTuber、ポピュラーカルチャー批評を行なっています。http://lichtung.hateblo.jp/archive


経歴

  2

論文

  13

MISC

  12

書籍等出版物

  12

主要な講演・口頭発表等

  15

社会貢献活動

  2