共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

国際環境法の原則に関する研究-CBDR原則・ICAOとIMOを中心として-

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
19J10593
体系的課題番号
JP19J10593
配分額
(総額)
900,000円
(直接経費)
900,000円
(間接経費)
0円

初年度にあたる2019年度は、これまで国際法学が十分な分析を加えることができていなかった現象について実証分析を行い、またその分析結果及び従前の研究成果を国際法理論との関係で整理するための基礎的研究も進めた。その成果を以下の通り、年度の前半と後半に分けて提示する。
年度前半は、国際航空機関・国際海事機関の気候変動対策について、各組織の総会や理事会及び下部機関としての委員会が作成する、各種ガイドラインや政策策定過程に関連する手続規則また議事録等の資料を収集し、政策内容の詳細や政策策定過程に関する法規則そして議論過程の実態を調査・分析した。資料取得及びその分析と予定していた研究会等への参加を通した知見獲得は計画通り進められた。これらの分析を通じて、特に権利義務の構成について無差別的取り扱いを導入するか、差異化を行うかに関する各組織の気候変動対策の特徴を整理した。
年度後半は、実証分析も引き続き行いつつ、さらにこれまでの実証分析の結果を理論的に整理するための基礎的研究も進めた。具体的には国際航空機関及び国際海事機関の温暖化対策において権利義務の差異化を行うCBDR原則の導入・非導入の理由を理論的に整理することを目的としたCBDR原則と国家平等原則との関係の明確化である。これは、国家平等原則について特徴的な捉え方をそれぞれ行う各国際法の方法における同原則の捉え方の比較分析を通して行った。その結果、国家平等原則の規範的意義を「国際社会(国際共同体)が共有する課題・目的との関係で各国が自国の能力・状況に応じそれぞれの役割・機能を果たすことを求めるもの」と特定することが適切であることを明らかにした。そして、同原則はこの意義において地球環境問題対処にあたって責任と能力に応じた権利義務の差異化を求めるCBDR原則の背景に存在するという位置づけの整理を行った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19J10593
ID情報
  • 課題番号 : 19J10593
  • 体系的課題番号 : JP19J10593

この研究課題の成果一覧

書籍等出版物

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