基本情報

所属
金沢星稜大学 人文学部 国際文化学科 助教
学位
博士(人間・環境学)(2023年3月 京都大学)

連絡先
matsumotoseiryo-u.ac.jp
J-GLOBAL ID
202101001841961072
researchmap会員ID
R000028580

生成文法理論の枠組みで、以下の研究をしております。

  1. 日本語の終助詞についての統語論および形式意味論・形式語用論的研究
    「XはYを買うよね」のような終助詞の分布に課せられる条件を考察しております。特に、文脈更新能力(Context Change Potential: CCP)と呼ばれる枠組みと、探求意味論(Inquisitive Semantics)と呼ばれる意味理論に立脚し、「社会的コミットメント」(social commitment)と「正当性の繰り延べ」(deferral of justificatory reasons)の二つをキーワードに研究を進めております。主に「よ・ね・さ・や・わ」など、終助詞について広く関心を持っております。また、これらの終助詞と証拠性を表す表現(〜そう/〜っぽいなど)の関係にも関心があります。
    この研究について、特に「わ・や」を分析した研究成果として、Proceedings of SICOGG 25に掲載される論文"On the formal syntax and semantics of the Japanese discourse particles ya and wa" が挙げられます。

    本研究については、形式意味論・生成文法統語論の枠組みで、頑健な理論・記述分析を提供するのはもちろんのこと、特に「(終助詞に関わる)言語獲得に応用可能な理論の提供」を大きな目標として掲げております。この目標の達成には、言語学内部の理論構築に終始するのではなく、関連諸分野の専門家の方々との共同研究が必須であります。すでにたくさんの方々からご助力いただいている次第ですが、もしこちらをお読みの方々の中で「終助詞の獲得」に関わる認知・発達研究などを行なっている方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡をいただけますと幸いです。

  2. 対比話題・対比焦点の語順に関する言語間変異の研究
    統語と音韻のインターフェイスの観点から、対比話題(Contrastive Topic)と対比焦点(Contrastive Focus)がどのような語順で生起するのかについての類型論的説明を試みております。主に日英語を中心に研究しておりますが、フランス語、イタリア語、ハンガリー語、スペイン語、バスク語、チェワ語などにおける類似現象についても考察しております。
    この研究の成果については、国際誌Linguistic Inquiryにregular articleとして掲載が決まっている"Contiguity Theory and the Ordering of Contrastive Elements"をご参照ください。

  3. 省略現象についての研究
    主に日英語を中心に、省略(Ellipsis)と呼ばれる現象について、統語と音韻のインターフェイスの観点から研究しております。特に、日本語の項省略(Argument Ellipsis)や動詞残留動詞句省略(V-Stranding VP Ellipsis)、動詞反復応答(Verb-Echo Answers)そして間接疑問縮約(Sluicing)について研究しております。こちらの研究については、例えば国際誌Studia Linguisticaに掲載されます''VERB-ECHO ANSWERS DO NOT INVOLVE HEAD MOVEMENT IN JAPANESE ''をご参照ください。

  4. 言語能力の生物学的進化についての研究
    生成文法では、「人間の言語能力の核の部分は生物進化の産物である」という想定のもと、生物学的形質としての「言語能力」の特性を抽出・説明することが中心課題です。この「言語能力」が生物進化の産物である限りにおいて、「一体それはどのようにして進化したのか」という進化的問いが浮かび上がってきます。私の研究では、特に「言語能力」における「話題化」(1.で見た「対比話題」の"話題"と同じです)という現象について、それと相同と考えられる他種の認知システムと比較し、その進化シナリオを考案しております。その研究成果として、Joint Conference on Language Evolutionに掲載されている"Evolution of Topicalization in Human Language"が挙げられます。
    また、1.の研究に関わる言語進化仮説を提案した論文として、国際誌Biolinguisticsに掲載される論文"Social Evolution and Commitment: Bridging the Gap between Formal Linguistic Theories and Language Evolution Research"が挙げられます。こちらの研究については、進化シミュレーションなどの手法を用いて実証的研究も行いたいと考えています。ご興味がおありの方がいらっしゃいましたら、ご連絡お待ちしております。

  5. 併合と数演算能力の進化・神経基盤
    リヨン神経科学センターの中井智也氏と共同で、数演算能力と人間言語の計算システムとの間の関係を探究しております。特に、数演算が言語同様の構造を持つ可能性について探究し、言語と数能力との間の関係を明らかにしようとしております。こちらの研究については、国際誌Coginitive Psychologyから出版されている論文"Syntactic theory of mathematical expressions"をご参照ください。

学歴

  1

論文

  19

講演・口頭発表等

  25

担当経験のある科目(授業)

  16

所属学協会

  3

共同研究・競争的資金等の研究課題

  3

学術貢献活動

  6