共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

公共用物自由使用論の再構成

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
21K01143
体系的課題番号
JP21K01143
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
330,000円
(間接経費)
99,000円
資金種別
競争的資金

令和3年度は,自由使用論再構成の前提として,現在の日本における自由使用論の議論状況確認を計画していた。この計画に基づき,同年度には以下のような研究を実施した。
第1に,「自由使用の非権利性」という観念について2つの異なる意味内容が語られてきたこと,そのうち伝統的通説が採るとして批判対象とされてきた意味内容は実際には主張者が(少なくとも有力には)存在しないものであることを示す論文を執筆した。第2に,地方議会の傍聴席における撮影許可制の運用にまつわる裁判例の評釈を通じて,自由使用が認められる公共用物とそうではない公用物との関係について検討すべき点を指摘した。具体的には,議場や裁判所といった公用物としての管理がなされているにもかかわらず,その「公開」が語られるが故に公共用物としての性格も併有すると考えられる施設の管理について,憲法学と行政法学で検討,すり合わせを実施すべき課題を具体的に列挙した。
第3に,自由使用の利益を包摂する人身の自由の制約について,COVID-19対策に関する検討を通じて,現在の法制度及び実務の問題点を具体的に指摘した。とりわけ,現在の検疫実務は,法律上の根拠なく移動の自由などをきわめて強度に制約する点で非常に問題が大きいことを検疫法の個々の規定の解釈により明らかにした。
以上を要するに,自由使用あるいは公共用物をめぐる学説,裁判例,実定法制度について検討すべき問題を具体的に摘示しえた。問題の具体的な解決策となる理論枠組みは提示していないが,それについては比較法的考察の成果を踏まえたうえで最終年度に実施することを当初から予定している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K01143
ID情報
  • 課題番号 : 21K01143
  • 体系的課題番号 : JP21K01143

この研究課題の成果一覧

論文

  8

MISC

  2

書籍等出版物

  3

講演・口頭発表等

  5