2020年6月
妊娠性エプーリスからの大量出血で母体管理のため帝王切開を選択した一例
現代産婦人科
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- 開催年月日
- 2020年6月 - 2020年6月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 主催者
- 中国四国産科婦人科学会
今回、我々は妊娠性エプーリスが急性増悪し、口腔内大量出血をきたしたため、耳鼻咽喉科による姑息的な止血手術を一時的に施行した。その後、母体管理のために選択的帝王切開術を施行した一例を経験した。【症例】19歳、女性。1妊0産。自然妊娠成立し妊娠11週に近医受診。同時期に歯肉腫脹を自覚した。近医歯科で歯肉炎と診断され、終診となっていた。妊娠25週に歯肉腫脹が増悪し、当院口腔外科を紹介受診となった。当院口腔外科にて腫脹箇所の切除の選択肢も提示されたが希望されず、経過観察の方針となった。妊娠35週0日、歯肉腫脹の増悪と持続的な強出血を認め、止血困難で救急搬送となった。来院時ショックバイタルであり、右下5舌側歯肉臼後部から動脈性の出血を認めた。病変は3cm程度で臨床所見から妊娠性エプーリスを疑った。緊急腫瘍摘出術を施行し止血は得られたが、根治手術は難しく姑息的手術となった。ICU入室後、再出血を認めず経過した。病変の再出血時は止血困難となる可能性を考慮し、早期の妊娠終了を協議の上決定し、妊娠35週4日に選択的帝王切開術を施行した。女児、2308g、アプガースコア9点/9点(1分/5分)の生児を得た。術後口腔内出血を認めず、残存腫脹は消退し産後9日目に退院した。【結語】妊娠性エプーリスは妊婦の1%程度に認め、その程度・出現時期・形態は多岐に渡る。本例では母体適応で35週の帝王切開術の方針としたが、分娩後は自然に縮小・消失することが特徴で正期産まで経過観察する選択肢も上げられる。母児両方の状態を考慮し治療方針を決定する必要性がある。(著者抄録)