論文

査読有り
2011年6月

ペットの家族化と葬送文化の変容

宗教研究
  • 内藤 理恵子

85
1
開始ページ
151
終了ページ
173
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.20716/rsjars.85.1_151
出版者・発行元
日本宗教学会

今日、日本の葬送文化はさまざまな変容を遂げている。本論では、特に今日のペット供養を取り上げ、伝統的に行われてきた畜生供養とどのように異なるのかを明らかにする。馬頭観音を本尊とした馬供養のように、ペット供養文化が開花する以前にも、日本では動物に対する供養は行われてきた。伝統的な六道輪廻観において動物は、地獄界・餓鬼界の次に低い畜生界に属していると考えられてきた。畜生供養は、中国撰述の『梵網経』を典拠としているが、それは牛馬猪羊など一切の動物の発菩提心を説いているため、本来は動物の成仏をめざすものである。それに対して、ペットが家族化した現在、多くの場合、飼い主は、個々のペットの他界観に関して小さな物語創作を行い、自らの死後、ペットとの再会を願っている。しかし、これはペットに限った現象ではなく、人間に対する他界観に関しても、死者を祀る側の願望にしたがって、小さな物語創作が行われてきているのが垣間見える。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.20716/rsjars.85.1_151
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110008686221
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00406454
ID情報
  • DOI : 10.20716/rsjars.85.1_151
  • ISSN : 0387-3293
  • CiNii Articles ID : 110008686221
  • CiNii Books ID : AN00406454
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000006677405

エクスポート
BibTeX RIS