2021年4月 - 2024年3月
正常・腫瘍オルガノイドモデルを活用した胆道癌の高精度早期診断法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
まず、胆道の正常と腫瘍オルガノイド(KRAS/TP53変異)、それらの培養上清、培養上清から回収した細胞外小胞(EV)の計6種のサンプルに対して、microRNAやタンパク質の網羅的解析を行った。これら結果の比較により、今年度は腫瘍オルガノイドで有意に発現低下のみられたmiR-Aに着目し、このmiR-Aの胆道癌における意義や診断、治療標的としての可能性について検討した。1)胆嚢癌細胞株3種を用いたin vitroの実験で、miR-Aの過剰発現により、細胞増殖能や遊走能を抑制し、アポトーシスを誘導することが明らかとなった。2)細胞株のスフェロイド培養でも同様の増殖抑制効果が確認された。3)その標的遺伝子として、抗アポトーシス物質であるSurvivinが関与していることが明らかとなった。さらにオートファジー関連遺伝子の制御によるオートファジー阻害にも関与している可能性が示唆され、検討を行っていく。4)In vivo実験にて、miR-Aの局所投与により、抗腫瘍効果を認め、治療に応用できる可能性が示唆された。さらに、診断への応用も含め、検討していく。一方、EV中のタンパク質発現の比較にて、正常、腫瘍オルガノイド由来EVから、それぞれ156個、155個(共通152個)のタンパク質が同定された。EVマーカーである、CD9、CD63、CD81、TSG101も同定されており、サンプルの質は良好と考えられた。今後、腫瘍由来EVで高発現していたタンパク質に注目し、臨床検体での腫瘍マーカーとしての有用性を検討していく。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K07962
- 体系的課題番号 : JP21K07962