共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

東南アジア水辺集落の居住文化・景観の再生とリバース・イノベーションによる発信

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H03451
体系的課題番号
JP18H03451
配分額
(総額)
13,130,000円
(直接経費)
10,100,000円
(間接経費)
3,030,000円

当初予定通り、タイのアユタヤー県とチェンマイ県の水辺集落で文化的景観を維持する方法、失われていく要因を究明した。アユタヤーはチャオプラヤー川の豊富な水量を背景に水稲耕作が盛んで、生産地としての水田はキャナルと並んで文化的景観の基礎となっていた。集落はキャナル沿いに建設され、果樹園を含んだ屋敷地が連続する。屋敷の入り口はキャナル側で、ひとつの屋敷は複数の母系集団からなる屋敷地共有集団によって所有される。屋敷の奥に集落内道路、森林、水田が続く空間配置が一般的である。2011年に起きた大規模な水害は、在来種の稲の死滅、政府による水門の設置をもたらした。その結果、洪水被害は起きなくなったが、多くの農家が離農し水田を売却するケースが多発した。水田内の土壌が採掘された巨大な跡(サンドピット)が地域内の各所にできた。離農した農家は、土地の売却で得た資金でバンコクに移住し、空き家の増加も進む。生業ベースで組織されていた文化的景観は、大きな変容を余儀なくされている。一方で、政府が推奨するCommunity Based Tourismを積極的に推進する集落もある。そこでは、キャナルをはじめとする在来の文化資源を観光資源と読み替え、積極的に観光化を進めている。チェンマイでは、堰を使った伝統的な灌漑ムアン・ファーイ・システムを持つメーチェム郡で資料収集を行った。森林-農地-河川-農地-村-森林という、谷を中心とする居住空間の広がりを空間的に把握し、また、その維持保存方法を行政や住民へのヒアリングで聞き取った。谷を走る河川の上流から下流まで複数の堰をつくり、さらにその堰を分枝させ、農地全体に複雑に水路を張り巡らす。水流は地形の傾斜によって生み出される。本研究では、GPSを使った谷全体の実測や水路の平面上の把握を行った。また、複雑な灌漑システムを持続させてきた慣習を村人や行政から聞き取り、記録した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03451
ID情報
  • 課題番号 : 18H03451
  • 体系的課題番号 : JP18H03451

この研究課題の成果一覧

論文

  4

講演・口頭発表等

  10