共同研究・競争的資金等の研究課題

1998年 - 1999年

看護実践を記述する用語の構造の解析および用語体系の構築に関する基礎的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
10470525
体系的課題番号
JP10470525
配分額
(総額)
7,800,000円
(直接経費)
7,800,000円

日常の看護実践での看護行為の構造を、臨床判断との複雑な関連性に着目しながら分析し、学術用語としての看護実践用語体系を構築していくことが本研究の目的である。
成人(対象者68名)・小児(対象者28名)・母性(対象者39名)・在宅ケア(対象者25名)・精神(対象者23名)看護学領域の臨床で実際にケアを行う看護者を対象として半構成的面接法を用いて看護実践を記述する用語調査を行った。5領域で収集した行為ラベル(看護者が行った看護行為を記述したもの)は合計1,270件であり、その調査結果から以下のことで明らかとなった。
1.看護者が実践を表すために用いている用語は、5領域とも基本的看護技術と呼ばれるテクニカルな技術をさす用語、業務遂行上必要となる用語、もしくは日常的口語的表現が中心であり、看護の専門的実践を表す理論用語はほとんど使われていない。
2.用いられている用語の抽象のレベルは様々であり、同義的に用いられている用語も多用で、それに省略語等が加わり、看護以外の立場から見ると非常に分かりにくい。
3.看護者は対象患者について様々な判断(アセスメント)を行い配慮しているが、用いられた用語にはほとんど反映されていない。
4.5領域とも、看護者により語られた行為に合わせて同時行為が行われている例が多いがそれを当初の行為ラベルから知ることは困難である。
以上の結果から、看護者の実践をその専門性を含めて反映させた看護実践を記述する用語の体系化をはるかに必要があり、示されている概念の抽象度に応じて用語を階層化し、相互の概念的関連を明らかにすることが次に必要な作業として示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10470525
ID情報
  • 課題番号 : 10470525
  • 体系的課題番号 : JP10470525