2019年4月 - 2022年3月
粉粒体の相分離による散逸構造:レオロジーと界面動力学のクロストーク
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
粉粒体は熱揺らぎの影響を受けない程度の大きさを持つ粒子の集合であり、散逸的な相互作用をする。異なる大きさを持つ二種類の粉粒体の混合物に対し、振動や流動などの機械的刺激によりエネルギーを加えると、異なる粒子ごとに分離をし、動的構造形成が起こりうる。しかし、粉粒体の動的構造形成の一般的なメカニズム、現象を支配するパラメーターは共に分かっていない。本研究では水平加振実験系を用い、粉粒体の相分離による構造形成のメカニズムの解明を目指している。これまでの研究により、水平加振系では2種類の粉粒体の流動性の違いが構造形成に重要であることが分かってきている。実験では、粒径の大きいガラスビーズと粒径の小さいガラスフリットを混合したものを使用している。ガラスビーズは流動性が大きく、流動にヒステリシスを持たない。ガラスフリットは流動性が低く、流動に大きなヒステリシスを持つ。二種類の大きさの異なるガラスフリットの組み合わせや、ガラスビーズとガラスフリットの粒径比を逆転した組み合わせ、球状粒子の組み合わせでは構造形成が起こらないことが分かった。したがって、粒径比と流動性の組み合わせが重要であることが分かる。そこで、深さ方向へ相分離をしている状況を考え、2種類の粉粒体の流動性の違いを考慮した現象論的なパターン形成のモデルを考案した。モデルでは流動層中のガラスフリットの量、流動層の流動状態の二つを変数と置いている。ガラスフリットの流動性のヒステリシスを非線形関数としてモデル化した結果、相分離の強さを表すパラメーターを変えることで、定常パターンから振動パターンを通して分裂パターンへと分岐する結果が得られ、実験結果を定性的に再現することが出来た。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K14614
- 体系的課題番号 : JP19K14614