本論文では、スイッチサイズに制限されることなく拡張性を有するトーナメントセル順序保証方式に基づいたATMスイッチ、スケーラブルトーナメントセル順序保証(STS)スイッチを提案する。STSスイッチではセルバイセルのスイッチングを行うので各ステージに配置された単位スイッチは入力セルを出力方路毎に順序保証しながらスイッチングする。さらに単位スイッチは出力方路までトーナメントに配置されているので、セル順序保証を分散的に行うことが可能となっている。このような方式を採用することで出力方路で一度にセル順序保証を行う必要がなくなる。これによりスイッチサイズに依存しない簡単なソーディング回路でセル順序保証が可能となる。その結果STSスイッチは、スケーラビリティに富むアーキテクチャとなっている。性能評価の結果、STSスイッチはセル順序保証のためのバッファ増加も少なく、優れたセル転送遅延特性を持つことを示した。STSスイッチは将来のマルチメディア通信におけるテラビット級のスループットを持つ有効なスイッチアーキテクチャと考えられる。