論文

2020年

飲酒量および酒の種類と軽度認知障害との関連:東温スタディ

日本老年医学会雑誌
  • 藤井 晶子
  • 谷川 武
  • 斉藤 功
  • 川村 良一
  • 髙田 康徳
  • 大澤 春彦
  • 陶山 啓子
  • 丸山 広達
  • 柴 珠実
  • 田中 久美子
  • 小岡 亜希子
  • 中村 五月
  • 梶田 賢
  • 江口 依里
  • 友岡 清秀
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57
3
開始ページ
300
終了ページ
307
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.3143/geriatrics.57.300
出版者・発行元
一般社団法人 日本老年医学会

<p>目的:飲酒と認知症に関する海外の研究のメタ分析では,飲酒量が少量の場合には発症リスクが低く,大量の場合には高い結果が示されている.しかし,アルコール代謝や飲酒文化が異なるわが国のエビデンスは限定的である.そこで本研究では,平均飲酒量と認知症前段階の軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment,以下MCIと略)との関連について検討した.方法:2014~2017年に愛媛県東温市の地域住民に実施した疫学研究「東温スタディ」に参加した60~84歳の男性421名,女性700名を本研究の対象とした.質問調査によって飲酒頻度,酒の種類別飲酒量を把握し,1日あたりの平均飲酒量を推定した.またJapanese version of Montreal Cognitive Assessmentを実施し,26点未満をMCIと定義した.男女別に現在飲まない群に対する平均飲酒量について男性3群,女性2群に分け各群のMCIの多変量調整オッズ比(95%信頼区間)をロジスティック回帰モデルにて算出した.さらに,ビール,日本酒,焼酎(原液),ワインについては,日本酒1合相当あたりの多変量調整オッズ比(95%信頼区間)を算出した.結果:男性212名(50.4%),女性220名(31.4%)がMCIに判定された.男性では,現在飲まない群に比べて,1日平均2合以上の群のMCIの多変量調整オッズ比(95%信頼区間)は1.78(0.93~3.40,傾向性p=0.045)であったが,女性では有意な関連は認められなかった(「1合以上」群の多変量調整オッズ比:95%信頼区間=0.96:0.39~2.38,傾向性p=0.92).この関連は,高血圧者において明確に認められた.また酒の種類別の解析では,男性において焼酎(原液)については多変量調整オッズ比(95%信頼区間)が1.57(1.18~2.07)と有意に高かった.結論:男性において平均飲酒量が多いほどMCIのリスクが高い可能性が示された.この関連は高血圧者においてより明確であった.</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.3143/geriatrics.57.300
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007896425
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00199010
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/030649866
ID情報
  • DOI : 10.3143/geriatrics.57.300
  • ISSN : 0300-9173
  • CiNii Articles ID : 130007896425
  • CiNii Books ID : AN00199010

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