2021年4月 - 2024年3月
復員軍人の「心の中の戦争」―精神科診療録の分析と家族への聞き取りによる可視化
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究
本研究の目的は、第一に、戦争という大規模暴力が個々の旧軍人の精神や家族との関係、彼らを取り巻くコミュニティ、ひいては戦後の日本社会全体に及ぼした長期的な影響を明らかにすることである。第二に、敗戦や非軍事化という大きな変化が、心を病んだ旧軍人に対する周囲の対応や当事者の意識にどのような影響を与えたのか(与えなかったのか)を明らかにすることである。
今年度はまず、終戦前後の軍事精神医療の状況を比較するため、昭和20年度に作成された診療録の電子化を進めた。
第二に、戦後復員兵のメンタルケアがほとんど行われなかった中で、心を病んだ元兵士たちがどのような状況におかれていたのか、トラウマやPTSDという用語がなかった当時、当事者や家族は、戦争前後の精神的変化をどのように認識し、どのような言葉で表現していたのかを明らかにするため、復員兵の家族へのインタビュー調査を進めた。また、日本オーラルヒストリー学会のシンポジウムで、家族等の近親者による「二次証言」の可能性について、精神疾患兵士の家族を例にコメントを行った。
第三に、オーストラリア及び日本の精神医学・心理学の研究者たちと、歴史学・社会学・人類学等の人文社会研究者とともに、戦後日本におけるトラウマの長期的影響に関するオンラインの連続シンポジウムを5回開催した。第1~4回は研究者を中心とするセミクローズドな会で、第5回は一般聴衆も参加可能な形で行い、のべ200名以上の人々が参加した。
今年度はまず、終戦前後の軍事精神医療の状況を比較するため、昭和20年度に作成された診療録の電子化を進めた。
第二に、戦後復員兵のメンタルケアがほとんど行われなかった中で、心を病んだ元兵士たちがどのような状況におかれていたのか、トラウマやPTSDという用語がなかった当時、当事者や家族は、戦争前後の精神的変化をどのように認識し、どのような言葉で表現していたのかを明らかにするため、復員兵の家族へのインタビュー調査を進めた。また、日本オーラルヒストリー学会のシンポジウムで、家族等の近親者による「二次証言」の可能性について、精神疾患兵士の家族を例にコメントを行った。
第三に、オーストラリア及び日本の精神医学・心理学の研究者たちと、歴史学・社会学・人類学等の人文社会研究者とともに、戦後日本におけるトラウマの長期的影響に関するオンラインの連続シンポジウムを5回開催した。第1~4回は研究者を中心とするセミクローズドな会で、第5回は一般聴衆も参加可能な形で行い、のべ200名以上の人々が参加した。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K12909
- 体系的番号 : JP21K12909