共同研究・競争的資金等の研究課題

2009年 - 2010年

自閉症スペクトラム障害の顔認知機能への発達支援

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
21119516
体系的課題番号
JP21119516
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

1.表情認知と社会的参照:定型発達児と自閉症児(発達年齢4歳)について、表情認知と社会的参照の発達との関連を分析した.(1)表情弁別課題:「ポジティブ表情」と「ネガティブ表情」を子どもに見せ、どんな顔であるかを答えさせた.(2)社会的参照課題:子どもが手を伸ばした時に、正面にいる大人は、それが正解であれば「ポジティブな表情」をし、不正解であれば「ネガティブな表情」をした。その結果、(1)表情弁別課題については、両群とも高い正反応が得られた。(2)社会的参照課題については、子どもが大人の表情を見る行動は、自閉症児群で生起率が有意に低かった。
2.表情認知と模倣:自閉症児と定型発達児(発達年齢4歳)を対象に、他者が動作(操作)をしている映像を模倣する際の視線反応を視線追跡装置(Tobii)で分析した。その結果、他者の動作(操作)領域への視線反応は両群で差がなかったが、顔領域への視線反応は、自閉症児群で有意に低かった。自閉症児は、表情弁別(2項)は可能であるが、他者の表情を手がかりとして社会行動を行うこと(3項)に困難があることが示された。
3.社会的参照における表情認知の発達支援:重度の自閉症児を対象に、表情認知を基盤にした「社会的参照」場面で、刺激を分離し、それぞれを機能化する発達支援を実施し、その獲得、般化、維持、発達全体に及ぼす効果を分析した.その結果、(1)顔表情への定位と弁別を社会的場面で学習させることにより社会的参照行動が獲得された.(2)親や新しい人にも社会的参照が般化した。(3)未知の物体の理解言語を学習する場合にも、社会参照がなされるようになった。(4)約1ヶ月後のフォローアップ時でも行動が維持されていた。発達支援によって社会的行動と言語獲得が促進されることが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-21119516
ID情報
  • 課題番号 : 21119516
  • 体系的課題番号 : JP21119516