福島第一原子力発電所における原子炉圧力容器破損メカニズムの解明に向けた取り組み
日本原子力学会2022年春の年会
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- 開催年月日
- 2022年3月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 神戸(online)
- 国・地域
- 日本
東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故から11年が経過し、内部調査や数値解析によって事故時の各号機の挙動が徐々に明らかになってきている。しかしながら、OECD/NEAの枠組みで実施された原子炉過酷事故解析コード(SAコード)による1F事故進展解析ベンチマークプロジェクトBSAFでは、解析コードやユーザーによる不確かさが大きい結果となり、SAコードの精緻化が必要である。特に、原子炉圧力容器(RPV)下部ヘッドの破損から燃料デブリのペデスタル底部への流出に関しては、不確かさが大きく、モデルの高度化は喫緊の課題となっている。1F2号機の格納容器内部調査結果によると、ペデスタル下部構造物に目立った損傷が見られないことから、RPV下部ヘッドから流出した燃料デブリは溶融金属主体であり、燃料酸化物の多くが未溶融であった可能性が指摘されている。下部ヘッド内部に堆積した燃料デブリのうち、酸化物成分は固体のまま、主に融点の低い金属成分が溶融し、金属主体の固液混合溶融プールが形成され、材料間の反応によって下部ヘッドが破損した可能性がある。本報では、下部ヘッド溶融プールの熱的挙動に着目したLIVE試験及び、下部ヘッド構造材と燃料デブリの材料間反応による下部ヘッド破損挙動に着目したELSA試験について報告する。