共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

完全な氷Icを基軸とした新たな氷の物理化学の展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)
  • 小松 一生
  • ,
  • 町田 真一
  • ,
  • 則竹 史哉

課題番号
18H01936
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

立方晶氷(ice Ic)は、通常の氷である六方晶氷(ice Ih)を除けば、地球圏内で唯一天然に産する氷であり、宇宙空間にも普遍的に存在する可能性の高い重要な氷の多形の一つである。一方で、これまで合成されたice Icには全て例外なく積層不整があり、完全なice Icの存在は未だ確認されていない。本研究では、世界で初めて積層不整のない完全なice Icを合成し、このice Icを基軸として新たな氷の物理化学を開拓することを目的とする。
2018年度は、中性子回折用温度・圧力調整システム(通称Mito system)を用いて、積層不整のない氷Icの鋳型となる水素ハイドレート(C2)を合成し、これを低温で脱圧、さらに真空下におくことで、C2からの脱水素、すなわちice Icの合成に世界で初めて成功した。また、得られたice Icの中性子回折パターンをリートベルト解析することにも成功しており、通常のice Ihと結晶構造の比較を行った。さらに、得られたice Icの常圧での熱的安定性を確認したところ、240 Kもの高温まで準安定相として存在できることが明らかになった。この成果は、今後ice Icを基軸とした新たな氷の物理化学を進める上で、極めて重要な進展である。例えば、通常のice Ihでは、100 K以下程度で加圧することで、高密度アモルファス氷が生成するが、ice Icでも同様のアモルファス状態となるのか、また、ice Icを経由して種々のガスハイドレートを形成できるのか、等、多種多様な問題が提起できる。