共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

海洋リソスフェア内の水循環:トランスフォーム断層と海底断裂帯における水分布の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K13638
体系的課題番号
JP18K13638
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本研究の目的は、地球深部への水の供給口として重要かつ未探査のトランスフォーム断層と断裂帯に注目し、海洋リソスフェア中の水循環過程を究明することである。具体的には、海洋底や陸上で得られたマントル物質の岩石物性・磁気測定と、地質学的背景の異なる3つの断裂帯で取得された海上・深海磁気異常の解析を通して、蛇紋岩化分布(水分布)の特徴を把握し、水分布モデルを構築する。
本年度も最も大きな実績は、フィリピン海・四国海盆のコアコンプレックスと北海道・神居古潭帯での調査を実施することができ、十分な量の蛇紋岩およびカンラン岩試料を採取できたことである。新たに分取した西太平洋の海溝斜面の試料と、既に取得済みのインド洋・中央インド洋海嶺の蛇紋岩試料と合わせると、蛇紋岩化反応と磁性・密度変化の関係解明に資する多様な地質学的背景の試料を揃えることに成功したと言える。これら試料の岩石磁気・物性分析も順調に進んでいる。得られた蛇紋岩岩石磁気データの新たな解析手法に関する論文と、熱水変質が海洋性地殻の磁化構造に与える影響に関する論文の計2編を査読付国際誌に出版した。
地球物理データの解析も順調に進んでおり、インド洋のマリーセレステトランスフォーム断層と、西太平洋の納沙布断裂帯において取得したデータの解析を進めた。マルチビーム音響測深器で得られたデータを解析し、磁気・重力モデリングの境界条件となる海底地形図を取得した。海嶺軸オフセット近傍での深海磁気データの解析と磁化構造に関する論文1編を査読付国際誌に出版した。
今後の研究では、昨年度に引き続き課題1「岩石磁気・物性研究:蛇紋岩化反応と磁性と密度変化の関係を解明」と課題2「トランスフォーム断層・断裂帯の磁化構造モデル推定」を進め、課題3「トランスフォーム断層と断裂帯における水分布モデルの構築」の達成を目指す。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K13638
ID情報
  • 課題番号 : 18K13638
  • 体系的課題番号 : JP18K13638

この研究課題の成果一覧

書籍等出版物

  1
  • 秋澤 紀克, 沖野 郷子, 石塚 治, 山下 浩之, 藤井 昌和, 小原 泰彦 (担当:共著, 範囲:9. マドメガムリオンに分布する岩石の岩石学的・地球物理学的解釈)
    出版社:マントル出版、発行所:オリンピア印刷株式会社 2020年6月10日

社会貢献活動

  1