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2017年5月

スマートフォン・ヘッドマウントディスプレー時代の斜視診療

日本の眼科
  • 不二門 尚

87
10
開始ページ
1318
終了ページ
1322
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(公社)日本眼科医会

近年、小さい画面で高精細の画像を表示できるスマートフォンの使用が低年齢化している。一方、360°の視角で3-D映像を表示できるヘッドマウントディスプレー(HMD)は、本年急速な普及が予想されており、コンピューター画面を眼鏡上に投影できるスマートグラスなども今後普及すると思われる。本稿ではこのような新しい映像装置が両眼視機能に与える影響に関して検討した。スマートフォンでの読書時に、両眼の水平方向の固視位置のずれ(fixation disparity)を正常者で検討すると、視距離20cmでは、50cmと比較して有意にずれが大きかった。間欠性外斜視の症例では、30cmまでは両眼の融像が保たれていたが、20cmでは間欠的に外斜視となることが示された。これらの結果より近距離でのスマホ視聴は視覚負荷が大きいことが推察された。また、HMDでの3-D映像視聴は、小児においては瞳孔間距離が成長過程にあること、両眼視機能が発達期にあることを踏まえて、7歳以上の年齢での使用が望ましいと考えられた。スマートグラスに関しては、片眼で虚像を見るので、調節応答が日常視と異なる点に注意が必要と考えられた。眼科医としては、このような新しい映像機器の両眼視機能に対する影響に、関心を持つことが必要である。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0285-1326
  • 医中誌Web ID : 2017032824

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