共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

鉄硫黄クラスター生合成マシナリーの反応過程における過渡的な中間状態の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03204
体系的課題番号
JP20H03204
配分額
(総額)
18,070,000円
(直接経費)
13,900,000円
(間接経費)
4,170,000円

本研究では、鉄硫黄(Fe-S)クラスターの生合成を担う3種類のマシナリー(ISC、NIF、SUF)の作動機構の解明に焦点を当てて、遺伝学、生化学、構造生物学、分光学などのさまざまなアプローチを結集して解析を進めている。R3年度の進行状況ならびに研究成果を以下に示す。
<BR>
1) IscUは、ISCマシナリーにおいてFe-Sクラスターの組み立てを担う中核成分である。このFe-Sクラスターは非常に不安定であるため解析が進んでいなかったが、私たちは、例外的に好熱性古細菌Methanothrix thermoacetophila IscUのFe-Sクラスターは比較的安定性が高いこと、さらに、H106Aというアミノ酸置換を導入すると安定性が向上することを見出した。このタンパク質のX線結晶構造解析に成功し、二量体の会合面に2つの [2Fe-2S] クラスターを集積した、独特な構造を世界に先駆けて決定した。また、溶液中でこの二量体に還元剤を加えると、2つの [2Fe-2S] から [4Fe-4S] へのクラスター変換が起こることを、EPRを用いた分光学的な解析で実証した。これらの知見から、IscUでは、1分子あたりひとつの [2Fe-2S] クラスターを組み立てた後で、2分子が会合して二量体となり、その会合面で2つの [2Fe-2S] クラスターが2電子を受け取って融合することで [4Fe-4S] クラスターに変換される、という大変ユニークなメカニズムが推定される。クラスターの組み立てと変換を担うIscUの構造基盤を明らかにすることができた。
<BR>
2) 3種類のFe-Sクラスターの生合成マシナリー(SUF、ISC、NIF)の作動機構は大きく異なるものの、いずれもシステイン脱硫酵素によってクラスターの硫黄が供給されている。この脱硫酵素は大きく2つのタイプに分類されている(タイプI: IscSとNifS, タイプII: SufS)が、私たちはそれらの構造と反応機構について詳細に比較解析を進め、共通点と相違点、ならびに多様性と進化的な側面を明らかにした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H03204
ID情報
  • 課題番号 : 20H03204
  • 体系的課題番号 : JP20H03204

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

  4