共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

透明化組織イメージング法を用いたヒルシュスプルング病の新しい診断マーカーの探索

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K08601
体系的課題番号
JP18K08601
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

腸管神経系は胎生期において後脳から発生した神経堤細胞が前腸に侵入し分化増殖しながら尾側へと遊走し、一部の大腸末梢領域を除いた消化管全域を支配し形成される。しかしヒルシュスプルング病(H病)の腸管神経系の発生過程では、無神経節部で著しく外来神経線維が増生することが知られている。今年度においては腸管神経系イメージングモデルマウス胎児を用いて透明化組織イメージング法を行い、H病において増生する外来神経線維がどのように正常発生と異なっているかを解剖学的に明らかにするために、組織透明化法による神経支配の可視化を試みた。
腸管神経細胞の遊走に関連する遺伝子でH病原因遺伝子でもあるエンドセリンレセプターBノックアウトマウスと、腸管神経堤細胞マーカーであるSox10遺伝子に緑色蛍光タンパクを標識したマウスを交配し、腸管神経系が強い蛍光を発するH病モデルを作製し、このマウスの胎児(胎生10日・15日)を用いた透明化のステップに進んだ。今回の検討では組織の伸縮がなく蛍光タンパクが退色せず、また操作の簡便さに重点をおき、SeeDB法を採用した。観察は共焦点顕微鏡により2mm程度の厚さで、タイリングイメージングによる広い視野での骨盤・仙骨由来の外来神経と発生中の腸管神経の位置関係が明瞭に可視化できるように撮影方法を工夫した。得られた画像を三次元画像処理ソフトにて立体構築処理を行い直腸肛門部の神経発生変化を観察したところ、正常発生マウスに比べ過剰に発生する外来神経線維がH病モデルマウスで観察することができた。
透明化法によるイメージングによりこれまで観察が不可能であった深部での腸管と外部神経叢との関係を明瞭にすることができた。現在、得られた画像をもとにH病で増生する神経の発生がどのように進行していくか確認し、また腸管とその周囲組織におけるいくつかの分子との関連を免疫染色で観察している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K08601
ID情報
  • 課題番号 : 18K08601
  • 体系的課題番号 : JP18K08601