共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年4月 - 2004年3月

歴史リテラシー獲得を支える認知的要因および社会的要因の分析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
01J04859
体系的課題番号
JP01J04859
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,600,000円
(直接経費)
3,600,000円

歴史の理解と学習を支える歴史リテラシーがどのように獲得されていくのか、その獲得を支える要因の分析を学習者および教師の認知的側面と、日本における学習環境の特徴という社会的側面から行うことを目的とした。
前年度までに行った研究の知見は以下のとおりである。
歴史の学習に関する先行研究を概観した。複数の研究知見から示唆されるのは、歴史の学びにおいて各種史料を呈示する順番が学習者の理解で重要ということである。その観点で日本の教科書を省みると、そこで学習者がどのように情報に接していくのか、その順番の配慮がわかりにくい構成となっていた。さらに、歴史の学びでは、メタディスコースすなわち語りの文に敏感になることが重要であり、パラフレーズすなわち学習者が自分の言葉で反芻することが学びをはぐくむものであることを示した。学習者の持つ「認識についての信念」に関わる文献を収集し、それをもとに調査を行った。この結果、学習の方法の信念に関しては、先行研究の報告とは異なっている可能性が示唆された。また、学習者のもつ信念のひとつとして、文章のスタイルを調べ、それが読解時の行動とも関わる可能性を指摘した。教師の意識に関して文献を収集し、検討した。歴史教育における学習材である教科書について検討した。とくに、学習指導要領の変遷を踏まえて教科書の時代変化を考察し、また現行の小中学校の社会科・歴史教科書の特徴をあきらかにした。
上記を踏まえた本年度の研究では、教科書の研究を中心に行った。
歴史教育における重要な学習材である教科書は、様式および形態が多種多様である情報の読解を必要とする点が特徴である。このように複数の情報を読み、自分の意見を形成する過程について、大学生を対象として検討した。その結果、それぞれの情報を丁寧に読み、それを自分の言葉で言い換えできた学生のみが、うまく自分の意見を深められたことがあきらかとなった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-01J04859
ID情報
  • 課題番号 : 01J04859
  • 体系的課題番号 : JP01J04859