受賞

2016年6月

情報処理学会論文賞

情報処理学会
  • 福田 宏
  • ,
  • 原 伸太郎
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  • 浅川 賢
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  • 石川 均
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  • 野城 眞理
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  • 勝矢 光昭

タイトル
Computer Simulation of Color Confusion for Dichromats in Video Device Gamut under Proportionality Law
受賞区分
国内外の国際的学術賞
受賞国
日本

画像の色を二色覚者の見る色に変換する色覚シミュレーションには変換できない色があることが知られている。この欠点を克服するために,画像の色を二色覚者が見る色ではなく区別できない色,混同色に変換する混同色シミュレーションを提案する。ディスプレィが発色する全ての色が変換できることを要請すると,sRGBを含む殆どのディスプレィに対して,変換前後の色の明るさの関係が保存され,同じ色が異なる色に変換される事がないという意味で矛盾のないアルゴリズムが唯一つ可能なこと示す。sRGBディスプレィに対して,このアルゴリズムを実装し,二色覚者を被験者として混同色シミュレーションを実証した。

[推薦理由]

本論文は,人間の視覚において,3種類の視細胞のうち、どれか一つが欠けている人,つまり,二色型色覚者が色を混同してしまう状況を,画像を提示するディスプレィの持つ色域によらずシミュレーション可能な方式について検討したものである.シミュレーションの原理として,変換前後の色が比例則を満たすということを制約条件に基づき「比例則を満たすシミュレーションは,LMS空間で混同色方向に垂直な平面へのディスプレィの色域の射影が6面体であれば,ユニークに決まること」を証明し,標準ディスプレィ,sRGBディスプレィに対して,この定理に基づくシミュレーションが正しいことを示している.
本論文は,画像表示という本質的に重要な問題を扱っており,提案している手法はしっかりとした数学的議論に基づいており,それが実際のディスプレィでも成立することを実証しており,ここで示されている新しい知見は,コンピュータビジョン・コンピュータグラフィクス分野に学際的なインパクトを与えている.実用的にも,色覚に障害がある人たちに正しく視覚的情報を伝えるための応用は当然のことながら,画像表示に関係する多くの幅広い応用に結びつくことが期待でき,受賞論文に相応しいものである.
また,本論文のトピックはコンピュータビジョンが扱う主流の問題ではないが,このような論文に賞を与えることも,本論文誌が扱うスコープが広いということを国内外にも示すために重要であると考えている.以上のような理由により,本論文を選定した.

リンク情報
共同研究・競争的資金等の研究課題
色覚シミュレーション,色覚特性測定と色覚画像補正の研究
URL
http://www.ipsj.or.jp/award/2016_09.html