幻肢痛患者が幻肢と健常肢の運動を行った際の脳磁図を計測し、これらの特長量を用いて運動種別のデコーディングを行った。また、幻肢の主観的な運動速度を10回離握手するのに必要な時間として計測し、デコード成績と比較した。幻肢痛患者15人(切断肢2名、腕神経叢引き抜き損傷13名)を対象に、患者が幻肢の離握手を行っているときの脳磁図を計測した。幻肢で10回離握手するのにかかる時間は14.9±6.7秒であった。同じ動作を健常肢で行った場合は7.5±3.3秒であり、幻肢で行う場合より有意に短かった。運動種別特異的に誘発された皮質電位の持つ情報量を推定するために、対側感覚運動野の平均皮質電位を用いたデコーディング解析を行った。健常肢の2種の運動種別(握る、開く)のデコード成績は幻肢を動かしやすい患者と動かしにくい患者で、それぞれ75.0%と88.75%であり、大きな差を認めなかった。一方、幻肢運動のデコード成績はそれぞれ91.3%と62.5%と大きく低下していた。